星座が示す、144通りの恋

第27話 スプーンから始まる相談
(双子座君♂x双子座ちゃん♀)

 冬の息が白い朝、公園のベンチで、夕方の匂いがしていた。並んで歩くと、いつもの道でも景色が少し変わる。
 『恋人』と口にするのに慣れない頃、侑輝は「ねえ、これ知ってる?」と笑い、彩葉は「うん」と小さく返す。
 今日は探しものを見つける。二人の間にスプーンがそっと置かれていた。それが始まりの合図だ。
 途中で彩葉が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、侑輝は立ち止まる。
 実は侑輝は昨日、同じスプーンをもう一つ用意していた。理由は、彩葉が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。侑輝は「それ、面白くない?」と言いながら、そっと手渡した。
 彩葉は受け取り、しばらく黙ったあと、「それ、面白くない?」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。侑輝は「じゃ、今使おう」と前を向き、彩葉はその背中に小さく「うん」と重ねた。
 片づけの最中、スプーンが机から転がりそうになり、侑輝が反射で押さえた。その手の速さに彩葉が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。侑輝は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
 片づけの最中、スプーンが机から転がりそうになり、侑輝が反射で押さえた。その手の速さに彩葉が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。侑輝は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
 帰り道、侑輝は「次は彩葉のやりたいことを先に聞く」と言った。彩葉は少し考えてから、スプーンを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の言葉にしなくても、伝わるものが増えた。 彩葉は笑ってうなずき、侑輝の袖を軽く引いた。
【終】