第22話 ボディソープのせいにして
(牡牛座君♂x山羊座ちゃん♀)
帰り道の夕焼け、保健室は静かで、空気が少しひんやりしていた。祥子は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
遥真は椅子を引いて隣に座り、「一つずつ片づけよう」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上にはボディソープ。先生の説明より先に、遥真は祥子の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
作業の途中、遥真のスマホが鳴った。画面の通知を見た祥子は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
遥真は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこでボディソープを持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
祥子は深呼吸して、最後の片づけまで手を抜かない。二人で手を動かし、ボディソープが役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に遥真が「送れてなかった」と画面を見せると、祥子は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
片づけの最中、ボディソープが机から転がりそうになり、遥真が反射で押さえた。その手の速さに祥子が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。遥真は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。祥子が「今日は助かった」と言うと、遥真は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、遥真は「次は祥子のやりたいことを先に聞く」と言った。祥子は少し考えてから、ボディソープを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の時間が、少しだけ増えた。
【終】
(牡牛座君♂x山羊座ちゃん♀)
帰り道の夕焼け、保健室は静かで、空気が少しひんやりしていた。祥子は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
遥真は椅子を引いて隣に座り、「一つずつ片づけよう」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上にはボディソープ。先生の説明より先に、遥真は祥子の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
作業の途中、遥真のスマホが鳴った。画面の通知を見た祥子は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
遥真は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこでボディソープを持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
祥子は深呼吸して、最後の片づけまで手を抜かない。二人で手を動かし、ボディソープが役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に遥真が「送れてなかった」と画面を見せると、祥子は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
片づけの最中、ボディソープが机から転がりそうになり、遥真が反射で押さえた。その手の速さに祥子が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。遥真は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。祥子が「今日は助かった」と言うと、遥真は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、遥真は「次は祥子のやりたいことを先に聞く」と言った。祥子は少し考えてから、ボディソープを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の時間が、少しだけ増えた。
【終】


