第1話 やすりから始まる相談
(牡羊座君♂x牡羊座ちゃん♀)
朝練のあと、公園のベンチで、薄い雲が流れていた。並んで歩くと、いつもの道でも景色が少し変わる。
付き合い始めてまだ数日、陽斗は「よし、今やろう」と笑い、紅葉は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。机の上のやすりが、二人だけの合図になっていた。
やってみると、すぐに小さな困りごとが顔を出した。紅葉が「ここ、引っかかる」と指さす。陽斗は返事の代わりにうなずき、やすりを手に取った。
陽斗は先に立って歩き出す。力の入れ方を見せてから、紅葉の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。紅葉は真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、紅葉の口から「よし、今やろう」がこぼれた。陽斗は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
帰り道の途中、陽斗は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。紅葉は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。陽斗は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
紅葉は歩きながら、ふとやすりを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。陽斗が「うん」と待つと、紅葉は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、陽斗は「次は紅葉のやりたいことを先に聞く」と言った。紅葉は少し考えてから、やすりを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の距離は、前よりも少しだけ縮まった。 紅葉は笑ってうなずき、陽斗の袖を軽く引いた。
【終】
(牡羊座君♂x牡羊座ちゃん♀)
朝練のあと、公園のベンチで、薄い雲が流れていた。並んで歩くと、いつもの道でも景色が少し変わる。
付き合い始めてまだ数日、陽斗は「よし、今やろう」と笑い、紅葉は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。机の上のやすりが、二人だけの合図になっていた。
やってみると、すぐに小さな困りごとが顔を出した。紅葉が「ここ、引っかかる」と指さす。陽斗は返事の代わりにうなずき、やすりを手に取った。
陽斗は先に立って歩き出す。力の入れ方を見せてから、紅葉の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。紅葉は真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、紅葉の口から「よし、今やろう」がこぼれた。陽斗は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
帰り道の途中、陽斗は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。紅葉は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。陽斗は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
紅葉は歩きながら、ふとやすりを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。陽斗が「うん」と待つと、紅葉は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、陽斗は「次は紅葉のやりたいことを先に聞く」と言った。紅葉は少し考えてから、やすりを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の距離は、前よりも少しだけ縮まった。 紅葉は笑ってうなずき、陽斗の袖を軽く引いた。
【終】


