第18話 暖房器具とふたりの手
(牡牛座君♂x乙女座ちゃん♀)
朝練のあと、公園のベンチで、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。ポケットの中で小さな振動が続き、二人の会話が途切れた。
告白の答えを伝えた翌週、沙耶は画面を見て「ごめん、ここで止まりそう」と困り顔。颯太は立ち止まり、鞄の中を探る。
助けになるのが暖房器具。機械のことが苦手でも、二人なら何とかなる気がした。
音楽を一緒に聞き始める前に、沙耶が立ち止まった。「ねえ、約束して」。颯太が見返すと、沙耶は暖房器具を両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、沙耶は目をそらす。颯太は一度だけ深くうなずき、「一つずつ片づけよう」と言って暖房器具を受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。沙耶は目を細め、「道具はそろってる?」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
帰り道の途中、颯太は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。沙耶は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。颯太は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。沙耶が「今日は助かった」と言うと、颯太は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、颯太は「次は沙耶のやりたいことを先に聞く」と言った。沙耶は少し考えてから、暖房器具を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。
【終】
(牡牛座君♂x乙女座ちゃん♀)
朝練のあと、公園のベンチで、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。ポケットの中で小さな振動が続き、二人の会話が途切れた。
告白の答えを伝えた翌週、沙耶は画面を見て「ごめん、ここで止まりそう」と困り顔。颯太は立ち止まり、鞄の中を探る。
助けになるのが暖房器具。機械のことが苦手でも、二人なら何とかなる気がした。
音楽を一緒に聞き始める前に、沙耶が立ち止まった。「ねえ、約束して」。颯太が見返すと、沙耶は暖房器具を両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、沙耶は目をそらす。颯太は一度だけ深くうなずき、「一つずつ片づけよう」と言って暖房器具を受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。沙耶は目を細め、「道具はそろってる?」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
帰り道の途中、颯太は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。沙耶は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。颯太は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。沙耶が「今日は助かった」と言うと、颯太は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、颯太は「次は沙耶のやりたいことを先に聞く」と言った。沙耶は少し考えてから、暖房器具を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。
【終】


