第17話 米びつの約束
(牡牛座君♂x獅子座ちゃん♀)
冬の息が白い朝、商店街の惣菜コーナー前で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。美月はエプロンのひもを結び直し、直樹は袖をまくった。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは簡単なおやつを作る。
鍵になるのが米びつで、手順がずれると味も形も崩れる。美月は「できるかな」と首をかしげた。
簡単なおやつを作るを始める前に、美月が立ち止まった。「ねえ、約束して」。直樹が見返すと、美月は米びつを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、美月は目をそらす。直樹は一度だけ深くうなずき、「一つずつ片づけよう」と言って米びつを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。美月は目を細め、「見てて、きれいにする」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
片づけの最中、米びつが机から転がりそうになり、直樹が反射で押さえた。その手の速さに美月が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。直樹は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。美月が「今日は助かった」と言うと、直樹は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、直樹は「次は美月のやりたいことを先に聞く」と言った。美月は少し考えてから、米びつを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の同じ方向へ進む気持ちが、静かに重なった。
【終】
(牡牛座君♂x獅子座ちゃん♀)
冬の息が白い朝、商店街の惣菜コーナー前で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。美月はエプロンのひもを結び直し、直樹は袖をまくった。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは簡単なおやつを作る。
鍵になるのが米びつで、手順がずれると味も形も崩れる。美月は「できるかな」と首をかしげた。
簡単なおやつを作るを始める前に、美月が立ち止まった。「ねえ、約束して」。直樹が見返すと、美月は米びつを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、美月は目をそらす。直樹は一度だけ深くうなずき、「一つずつ片づけよう」と言って米びつを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。美月は目を細め、「見てて、きれいにする」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
片づけの最中、米びつが机から転がりそうになり、直樹が反射で押さえた。その手の速さに美月が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。直樹は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。美月が「今日は助かった」と言うと、直樹は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、直樹は「次は美月のやりたいことを先に聞く」と言った。美月は少し考えてから、米びつを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の同じ方向へ進む気持ちが、静かに重なった。
【終】


