第16話 シェービングフォームから始まる相談
(牡牛座君♂x蟹座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、家の洗面所は静かで、空気が少しひんやりしていた。紗季は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
慎吾は椅子を引いて隣に座り、「一つずつ片づけよう」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上にはシェービングフォーム。先生の説明より先に、慎吾は紗季の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。慎吾は「ちゃんと確かめてから」と返し、役割をぱっと分ける。
紗季は背中を軽くなでる、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にあるシェービングフォームは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき慎吾が「一回止めよう」と手を上げ、紗季が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
片づけの最中、シェービングフォームが机から転がりそうになり、慎吾が反射で押さえた。その手の速さに紗季が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。慎吾は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
紗季は歩きながら、ふとシェービングフォームを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。慎吾が「うん」と待つと、紗季は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、慎吾は「次は紗季のやりたいことを先に聞く」と言った。紗季は少し考えてから、シェービングフォームを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。
【終】
(牡牛座君♂x蟹座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、家の洗面所は静かで、空気が少しひんやりしていた。紗季は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
慎吾は椅子を引いて隣に座り、「一つずつ片づけよう」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上にはシェービングフォーム。先生の説明より先に、慎吾は紗季の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。慎吾は「ちゃんと確かめてから」と返し、役割をぱっと分ける。
紗季は背中を軽くなでる、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にあるシェービングフォームは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき慎吾が「一回止めよう」と手を上げ、紗季が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
片づけの最中、シェービングフォームが机から転がりそうになり、慎吾が反射で押さえた。その手の速さに紗季が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。慎吾は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
紗季は歩きながら、ふとシェービングフォームを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。慎吾が「うん」と待つと、紗季は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、慎吾は「次は紗季のやりたいことを先に聞く」と言った。紗季は少し考えてから、シェービングフォームを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。
【終】


