第136話 おたまと帰り道
(魚座君♂x蟹座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、灯の家の台所で、日差しがまぶしかった。灯はエプロンのひもを結び直し、優斗は袖をまくった。
告白の返事をした次の週、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのはお弁当の準備をする。
鍵になるのがおたまで、手順がずれると味も形も崩れる。灯は「できるかな」と首をかしげた。
初めてみると、思ったより早くつまずきが見えた。灯が「ここ、引っかかる」と指さす。優斗は返事の代わりにうなずき、おたまを手に取った。
優斗は相手の言葉を受け止めてうなずく。力の入れ方を見せてから、灯の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。灯は相手の顔色を確かめる、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、灯の口から「寒くない?」がこぼれた。優斗は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
帰り道の途中、優斗は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。灯は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。優斗は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
灯は歩きながら、ふとおたまを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。優斗が「うん」と待つと、灯は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、優斗は「次は灯のやりたいことを先に聞く」と言った。灯は少し考えてから、おたまを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。 灯は笑ってうなずき、優斗の袖を軽く引いた。
【終】
(魚座君♂x蟹座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、灯の家の台所で、日差しがまぶしかった。灯はエプロンのひもを結び直し、優斗は袖をまくった。
告白の返事をした次の週、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのはお弁当の準備をする。
鍵になるのがおたまで、手順がずれると味も形も崩れる。灯は「できるかな」と首をかしげた。
初めてみると、思ったより早くつまずきが見えた。灯が「ここ、引っかかる」と指さす。優斗は返事の代わりにうなずき、おたまを手に取った。
優斗は相手の言葉を受け止めてうなずく。力の入れ方を見せてから、灯の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。灯は相手の顔色を確かめる、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、灯の口から「寒くない?」がこぼれた。優斗は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
帰り道の途中、優斗は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。灯は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。優斗は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
灯は歩きながら、ふとおたまを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。優斗が「うん」と待つと、灯は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、優斗は「次は灯のやりたいことを先に聞く」と言った。灯は少し考えてから、おたまを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。 灯は笑ってうなずき、優斗の袖を軽く引いた。
【終】


