星座が示す、144通りの恋

第132話 体温計の約束
(水瓶座君♂x魚座ちゃん♀)

 朝練のあと、通学路の角で、校庭に風が走っていた。ポケットの中で小さな振動が続き、二人の会話が途切れた。
 一緒に帰る日が増えた頃、凪は画面を見て「ごめん、ここで止まりそう」と困り顔。遥翔は立ち止まり、鞄の中を探る。
 助けになるのが体温計。機械のことが苦手でも、二人なら何とかなる気がした。
 二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。遥翔は「これ、アプリでできる」と返し、役割をぱっと分ける。
 凪は相手の気持ちを言葉にして返す、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にある体温計は順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
 そのとき遥翔が「一回止めよう」と手を上げ、凪が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
 片づけの最中、体温計が机から転がりそうになり、遥翔が反射で押さえた。その手の速さに凪が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。遥翔は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
 片づけの最中、体温計が机から転がりそうになり、遥翔が反射で押さえた。その手の速さに凪が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。遥翔は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
 帰り道、遥翔は「次は凪のやりたいことを先に聞く」と言った。凪は少し考えてから、体温計を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の言いかけた言葉が、ちゃんと形になった。
【終】