第131話 ハンドタオルと帰り道
(水瓶座君♂x水瓶座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、風優の部屋で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、風優は足をすり合わせて寒さを追い払う。晴也は無言でハンドタオルを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
途中で風優が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、晴也は立ち止まる。
実は晴也は昨日、同じハンドタオルをもう一つ用意していた。理由は、風優が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。晴也は「発想を変えよう」と言いながら、そっと手渡した。
風優は受け取り、しばらく黙ったあと、「発想を変えよう」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。晴也は「じゃ、今使おう」と前を向き、風優はその背中に小さく「うん」と重ねた。
片づけの最中、ハンドタオルが机から転がりそうになり、晴也が反射で押さえた。その手の速さに風優が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。晴也は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道の途中、晴也は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。風優は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。晴也は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
帰り道、晴也は「次は風優のやりたいことを先に聞く」と言った。風優は少し考えてから、ハンドタオルを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の視線が合うたび、心が落ち着いた。
【終】
(水瓶座君♂x水瓶座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、風優の部屋で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、風優は足をすり合わせて寒さを追い払う。晴也は無言でハンドタオルを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
途中で風優が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、晴也は立ち止まる。
実は晴也は昨日、同じハンドタオルをもう一つ用意していた。理由は、風優が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。晴也は「発想を変えよう」と言いながら、そっと手渡した。
風優は受け取り、しばらく黙ったあと、「発想を変えよう」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。晴也は「じゃ、今使おう」と前を向き、風優はその背中に小さく「うん」と重ねた。
片づけの最中、ハンドタオルが机から転がりそうになり、晴也が反射で押さえた。その手の速さに風優が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。晴也は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道の途中、晴也は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。風優は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。晴也は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
帰り道、晴也は「次は風優のやりたいことを先に聞く」と言った。風優は少し考えてから、ハンドタオルを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の視線が合うたび、心が落ち着いた。
【終】


