星座が示す、144通りの恋

第129話 乾電池のせいにして
(水瓶座君♂x射手座ちゃん♀)

 土曜の昼下がり、公園のベンチで、日差しがまぶしかった。ポケットの中で小さな振動が続き、二人の会話が途切れた。
 二人だけの合図ができたばかりの頃、凛は画面を見て「ごめん、ここで止まりそう」と困り顔。瑛士は立ち止まり、鞄の中を探る。
 助けになるのが乾電池。機械のことが苦手でも、二人なら何とかなる気がした。
 作業の途中、瑛士のスマホが鳴った。画面の通知を見た凛は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
 瑛士は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこで乾電池を持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
 凛は深呼吸して、失敗しても笑って切り替える。二人で手を動かし、乾電池が役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に瑛士が「送れてなかった」と画面を見せると、凛は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
 最後の確認をしていると、凛が「ありがとう」とはっきり言った。瑛士は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で凛の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
 最後の確認をしていると、凛が「ありがとう」とはっきり言った。瑛士は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で凛の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
 帰り道、瑛士は「次は凛のやりたいことを先に聞く」と言った。凛は少し考えてから、乾電池を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。 凛は笑ってうなずき、瑛士の袖を軽く引いた。
【終】