第128話 弁当箱から始まる相談
(水瓶座君♂x蠍座ちゃん♀)
夏休みの初日、通学路で、日差しがまぶしかった。二人で歩くと、風の匂いまで違って感じた。
『恋人』という言葉がまだむずがゆい頃、湊は「それ、別の方法あるよ」と笑い、珠季は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。机の上の弁当箱が、二人だけの合図になっていた。
途中で珠季が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、湊は立ち止まる。
実は湊は昨日、同じ弁当箱をもう一つ用意していた。理由は、珠季が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。湊は「発想を変えよう」と言いながら、そっと手渡した。
珠季は受け取り、しばらく黙ったあと、「秘密、守る」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。湊は「じゃ、今使おう」と前を向き、珠季はその背中に小さく「うん」と重ねた。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。珠季が「今日は助かった」と言うと、湊は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
最後の確認をしていると、珠季が「ありがとう」とはっきり言った。湊は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で珠季の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、湊は「次は珠季のやりたいことを先に聞く」と言った。珠季は少し考えてから、弁当箱を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の次の約束が、自然に浮かんだ。 珠季は笑ってうなずき、湊の袖を軽く引いた。
【終】
(水瓶座君♂x蠍座ちゃん♀)
夏休みの初日、通学路で、日差しがまぶしかった。二人で歩くと、風の匂いまで違って感じた。
『恋人』という言葉がまだむずがゆい頃、湊は「それ、別の方法あるよ」と笑い、珠季は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。机の上の弁当箱が、二人だけの合図になっていた。
途中で珠季が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、湊は立ち止まる。
実は湊は昨日、同じ弁当箱をもう一つ用意していた。理由は、珠季が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。湊は「発想を変えよう」と言いながら、そっと手渡した。
珠季は受け取り、しばらく黙ったあと、「秘密、守る」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。湊は「じゃ、今使おう」と前を向き、珠季はその背中に小さく「うん」と重ねた。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。珠季が「今日は助かった」と言うと、湊は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
最後の確認をしていると、珠季が「ありがとう」とはっきり言った。湊は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で珠季の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、湊は「次は珠季のやりたいことを先に聞く」と言った。珠季は少し考えてから、弁当箱を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の次の約束が、自然に浮かんだ。 珠季は笑ってうなずき、湊の袖を軽く引いた。
【終】


