星座が示す、144通りの恋

第126話 電源タップで丸くなる角
(水瓶座君♂x乙女座ちゃん♀)

 日曜の買い物の帰り、駅の改札横で、夕方の匂いがしていた。ポケットの中で小さな振動が続き、二人の会話が途切れた。
 告白の答えを伝えた翌週、結乃は画面を見て「ごめん、ここで止まりそう」と困り顔。祐真は立ち止まり、鞄の中を探る。
 助けになるのが電源タップ。機械のことが苦手でも、二人なら何とかなる気がした。
 やってみると、すぐに小さな困りごとが顔を出した。結乃が「ここ、引っかかる」と指さす。祐真は返事の代わりにうなずき、電源タップを手に取った。
 祐真は新しい道具や仕組みを試す。力の入れ方を見せてから、結乃の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。結乃は細かいところを見つけて直す、真剣な目で真似をした。
 うまくいった瞬間、結乃の口から「ここ、順番が大事」がこぼれた。祐真は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
 結乃が靴ひもを結び直している間、祐真は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、結乃は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
 最後の確認をしていると、結乃が「ありがとう」とはっきり言った。祐真は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で結乃の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
 帰り道、祐真は「次は結乃のやりたいことを先に聞く」と言った。結乃は少し考えてから、電源タップを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。 結乃は笑ってうなずき、祐真の袖を軽く引いた。
【終】