第120話 化粧水から始まる相談
(山羊座君♂x魚座ちゃん♀)
土曜の昼下がり、保健室は静かで、校庭に風が走っていた。紗月は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
雄大は椅子を引いて隣に座り、「あと十分で終わる」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上には化粧水。先生の説明より先に、雄大は紗月の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。雄大は「あと十分で終わる」と返し、役割をぱっと分ける。
紗月は相手の気持ちを言葉にして返す、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にある化粧水は順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき雄大が「一回止めよう」と手を上げ、紗月が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
帰り道の途中、雄大は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。紗月は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。雄大は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。紗月が「今日は助かった」と言うと、雄大は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、雄大は「次は紗月のやりたいことを先に聞く」と言った。紗月は少し考えてから、化粧水を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の言いかけた言葉が、ちゃんと形になった。
【終】
(山羊座君♂x魚座ちゃん♀)
土曜の昼下がり、保健室は静かで、校庭に風が走っていた。紗月は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
雄大は椅子を引いて隣に座り、「あと十分で終わる」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上には化粧水。先生の説明より先に、雄大は紗月の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。雄大は「あと十分で終わる」と返し、役割をぱっと分ける。
紗月は相手の気持ちを言葉にして返す、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にある化粧水は順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき雄大が「一回止めよう」と手を上げ、紗月が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
帰り道の途中、雄大は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。紗月は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。雄大は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。紗月が「今日は助かった」と言うと、雄大は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、雄大は「次は紗月のやりたいことを先に聞く」と言った。紗月は少し考えてから、化粧水を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の言いかけた言葉が、ちゃんと形になった。
【終】


