第104話 柔軟剤で近づく距離
(射手座君♂x蠍座ちゃん♀)
五月の雨上がりの朝、商店街で、薄い雲が流れていた。並んだ足音があるだけで、道が短く感じた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、大翔は「行ってみよう!」と笑い、紫乃は「うん」と小さく返す。
今日は一緒に練習する。机の上に柔軟剤が置かれていた。今日はそれが鍵になる。
途中で紫乃が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、大翔は立ち止まる。
実は大翔は昨日、同じ柔軟剤をもう一つ用意していた。理由は、紫乃が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。大翔は「外の空気、吸おう」と言いながら、そっと手渡した。
紫乃は受け取り、しばらく黙ったあと、「秘密、守る」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。大翔は「じゃ、今使おう」と前を向き、紫乃はその背中に小さく「うん」と重ねた。
紫乃が靴ひもを結び直している間、大翔は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、紫乃は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
帰り道の途中、大翔は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。紫乃は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。大翔は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
帰り道、大翔は「次は紫乃のやりたいことを先に聞く」と言った。紫乃は少し考えてから、柔軟剤を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の次の約束が、自然に浮かんだ。 紫乃は笑ってうなずき、大翔の袖を軽く引いた。
【終】
(射手座君♂x蠍座ちゃん♀)
五月の雨上がりの朝、商店街で、薄い雲が流れていた。並んだ足音があるだけで、道が短く感じた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、大翔は「行ってみよう!」と笑い、紫乃は「うん」と小さく返す。
今日は一緒に練習する。机の上に柔軟剤が置かれていた。今日はそれが鍵になる。
途中で紫乃が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、大翔は立ち止まる。
実は大翔は昨日、同じ柔軟剤をもう一つ用意していた。理由は、紫乃が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。大翔は「外の空気、吸おう」と言いながら、そっと手渡した。
紫乃は受け取り、しばらく黙ったあと、「秘密、守る」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。大翔は「じゃ、今使おう」と前を向き、紫乃はその背中に小さく「うん」と重ねた。
紫乃が靴ひもを結び直している間、大翔は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、紫乃は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
帰り道の途中、大翔は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。紫乃は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。大翔は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
帰り道、大翔は「次は紫乃のやりたいことを先に聞く」と言った。紫乃は少し考えてから、柔軟剤を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の次の約束が、自然に浮かんだ。 紫乃は笑ってうなずき、大翔の袖を軽く引いた。
【終】


