いらっしゃいませ、お姫様 ―Kitty Catへようこそ―


 Kitty Catに行って以来、私はホストクラブに行くのを辞めた。
 だって、今思えばホス狂いをしていた自分が恥ずかしくなる。
 今まで担当に使っていたお金を、他のことに使うようになったら、一気に私の生活が変わったの。
 一度だけ担当から「ごめん」って連絡がきたけれど、私は「もうホストは卒業したから」と言ってやった。
 その時は、本当にすっきりしたわ。


 そして今私がハマっているのは、ホストクラブではなく、猫カフェ。
 可愛らしい猫に囲まれて幸せな毎日よ……。
 それに、この猫カフェには七匹の猫がいるの。それが以前会った誰かさんたちに似ていて、可笑しくなっちゃった。
 でも私は、Kitty Catに行って人生が変わった。
 ううん。彼らが私を変えてくれたのよ。


 では、ここにいる七匹の雄猫を紹介するね。
 まずはとても礼儀正しくて、おっとりした茶トラの猫。
 そしてクールビュティ―系の三毛猫。この子は本当に珍しい雄の三毛猫なの。
 次は懐くまでに時間はかかったけれど、懐いてしまえば私にべったりな白猫。
 それから、ちょっとミステリアスな雰囲気を持った黒猫。この子は、胸にエンジェルマークがあるのよ。
 次に、この猫カフェのボス的な存在のキジトラの猫。でも性格はとても優しいの。
 そしてとにかく元気なハチワレ。カフェ中を飛び回っている。
 最後におっとりしたグレーの毛色の猫。この子が慣れるまでに一番時間がかかったわ。でも慣れてしまってからは、いつも私の横で静かに座っている。


 あれ? もしかして私、七匹の猫に取り囲まれてる?
 それはまるで、「君は誰を指名するんだい?」と問い詰められているかのよう……。
 ちょっと待ってよ。みんなが可愛すぎて、一匹だけなんて選べないよ。
 お願いだから、そんな円らな瞳で見つめないで?

 
 ……なんてね。
 私はあの日、誰を指名するかを決めていた。
 みんな素敵な人だったけれど、あの人だけは特別だった。
 あの人の笑顔、あの人の仕草……。全てが深い湖に落とされた石のように、私の心の中に波紋を広げ続けている。
 眠れない夜にはあの人の事が頭を過り、どうしても忘れられない。
 胸の奥にあるあの熱い感覚は、いつもあの人を思い出させる。
 ずっとずっと、胸の中に秘めていた想い――。


「私が指名するのはね……」


 私と目が合った猫が「にゃーん」と嬉しそうに鳴いた。


【END】