いらっしゃいませ、お姫様 ―Kitty Catへようこそ―


 これで初回の接客は終わりとなります。
 もし、気に入ったホストがいなかった姫は、ここでお帰りください。ご期待に添えず、大変申し訳ございませんでした。


「姫、大変お疲れ様でした。大勢のホストとお話をされたのでお疲れでは?」
「いえ、全然です。皆さん本当にイケメンでしたし、お話も楽しくて……。私、毎日ここに通いたいくらいです」
「ふふっ、それはよかったです」
 私に笑いかける晴さんを見て、うっとりとしてしまう。
 あぁ、やっぱりイケメンって最高だわ。


 今、目を閉じて思い起こすだけでも多幸感に包まれる。
 グラスの触れ合う音と華やかな音楽に包まれて、目の前の彼は、私だけを見つめていた。
 優しい相槌や、私を肯定してくれる言葉遣いの一つ一つが、担当に傷つけられた心をゆっくりと満たしていく。
 それに笑っちゃうけれど、鬼ごっこもしたしね。
 ここでは、担当のために無理をする必要なんてない。
 被りにヤキモチを妬くことも、高いシャンパンをおねだりされることもない。
 ただの『私』として笑っていられるこの場所が、今の私には何よりも必要な癒しなんだと痛感させられた。


 もう背伸びをして高額なシャンパンをおろすことも、強がって本数を稼ぐ努力も、全て終わりにしよう。


「大変申し訳ないのですが、本日『飲み直し』のお時間をとることができません。ですが、『送り』をすることはできますので、送りのホストを一人お選びください」
「一人、ですよね?」
「はい。一人でございます」
「うーん、一人かぁ……」
 私はもう一度猫本を手に取り、スクロールをしながら、それぞれの顔と名前をジッと見つめる。
 彼らは皆、私の心を満たし、幸せな時間をくれた。
 たくさん笑わせてくれたし、優しく私の心に寄り添ってもくれた。
 彼らには、感謝してもしきれない。
 私は、彼らの宣材写真を見つめながら、心の中でもう一度「ありがとう」と呟く。
 今日、彼らに会えてよかった。
 だって、私は、こんなにも幸せなのだから――。


「晴さん、私決めました。私、この人に送ってほしいです」
「かしこまりました。Kitty Catの送りは特別で、裏庭にあるバラ園から送り出しをさせていただきます」
「え? そんな素敵な場所があるんですか?」
「はい。今宵は綺麗な満月です。姫が選ばれたホストと、最後のひと時をお過ごしくださいませ」


 晴さんの「最後」という言葉が、心に針のように突き刺さる。
 でも、私はもう迷わない。この人に決めたんだ。
 私は送りに選んだキャストの宣材写真を指先でそっとなぞり、タブレットを抱き締めた。




 私が送りに選んだのは……。


1.晴⇒13ページに進んでください。

2.帝⇒14ページに進んでください。

3.YUKI⇒15ページに進んでくだい。

4.蒼月⇒16ページに進んでください。

5.騎士⇒17ページに進んでください。

6.連⇒18ページに進んでください。

7.星七⇒19ページに進んでください。


 では、素敵な時間をお過ごしください。


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