辺境伯はお犬様(聖女)を溺愛中!

 ルークを好きなんだよね?
 でも剣を向けちゃうの?
 よくわからないなぁ。
 まぁ、イケメンなのは否定しないけどね。

 私だったら、好きな人には優しくしたいな。
 キャルは短い足をルークの顔に精いっぱい伸ばした。
 全く届く気配はないけれど。

 怪我はしてほしくない。
 剣で斬られたら痛いでしょ?
 よくないよ。

「……キャル?」
 短いキャルの手は光りだし、人のような手に。
 ふわふわの毛は輝く長い髪に。

「……女神だ」
 驚きすぎて剣を落とした騎士はその場に跪く。

 キャルのお腹の白い部分を現すかのような白い服の女性をルークはしっかりと支えた。

「キャウ?」
 あれ? 人の手だ。
 でも人の言葉が話せない?
 見上げれば犬の時よりも近くにイケメンの顔!

「キャウ!」
 近い! イケメンが近い!

「……キャルの目は黒いのか」
 犬の時と一緒だなと破壊力満点の笑顔を向けるイケメンルーク。
 ルークはキャルの腰をしっかりと抱えた。

「女神の遣いは渡さない」
 すっかり大人しくなった犬たちと戦意喪失した騎士たち。
 残るはおまえだけだがどうする? とルークはクリスティーナを睨みつけた。

「なんなの! ずっとルークと結婚するって決めてたのよ! 急に出て来たそんな女!」
「女神の遣いに失礼な言動はやめてください」
「チャーリー、あんたまで! 私がどれだけルークを好きか知ってるでしょ!」
「えぇ、ルークがどれだけあなたを嫌いかも知っています」
 下がってもいない眼鏡を押し上げながら、他国の王女に遠慮なく言ってしまうチャーリーに、ルークは思わず吹き出した。