辺境伯はお犬様(聖女)を溺愛中!

 ……これはどういう状態?
 なんでドーベルマンがいっぱい?
 なんであの人たち剣を構えているの?
 あ、派手なあの女の人だ。
 
「キャル、気が付いたか?」
 見上げればイケメンのルークの顔。
 でもちょっと困った顔?
 どうしたの?

 犬たちの威嚇はどうしたのだろう?
 まさかルークを威嚇している?
 ドーベルマンは見た目が凛々しいんだから、むやみに威嚇とかしちゃダメでしょ。

「キャンキャン!(おすわり!)」
 キャルはドッグトレーナーのつもりでドーベルマンたちに指示する。
 ドーベルマンは嘘のように大人しくその場におすわりした。

「キャン!(伏せ!)」
 地面に顔をつける犬たち。
 その場の全員が異常な状態に息を飲む。

「……キャルに従っているのか……?」
「そうみたいだね」
 ルークとチャーリーはキャルを見つめる。
 レイド国王女のクリスティーナはギリッと奥歯を鳴らした。

「犬は斬れないけれど、人なら正当防衛……かな、ルーク」
 相手は剣を抜いているしと微笑みながら剣を手にするチャーリー。
 待って、優等生眼鏡のくせに剣を使えるの?
 セコくない?

「おまえら如き、片手で十分だ」
 ルークはキャルを抱っこしたまま、剣を鞘から抜いた。
 
「キャウ?」
 何そのヒーロー発言!

「何よ、そんな犬!」
 あ、完璧な悪役発言。
 キャルはペロッと舌を出しながら、真っ赤なドレスの女性を眺めた。