辺境伯はお犬様(聖女)を溺愛中!

    ◇
  
 なんだか派手なお姫様だったけれど、ルークに片思いなのね。
 キャルは侍女のサリーにブラッシングされながら、先ほどの出来事を思い出した。

 美人だったけれど、性格は悪そうだったな。
 イケメンは大変だ。

 欲しいだけ犬をあげるよってどういうことなのだろう?
 ルークはいっぱい犬を飼いたいのかな?

「キャル様、赤いリボンと青いリボン、どちらがいいですか?」
 サリーに聞かれたキャルは青いリボンに鼻を近づけた。
 なんとなくさっきの派手な赤いドレスの人のようで、赤いリボンが嫌だったのだ。

「青ですね!」
 サリーが首輪にしては大きすぎる青いリボンをキュッと結びつける。

「可愛いです」
 鏡を見せられたキャルは、どこからどう見てもポメラニアンな自分の姿にガッカリした。
 可愛いけどね!

「お水です!」
 甲斐甲斐しく世話をしてくれるサリーも犬が好きなのかな?
 年は私と近そう。
 犬の姿じゃなかったら友達になれたかな?
 
 全く歩いていない散歩で疲れるわけがないけれど、なんだか眠たくなってしまった。
 ソファーは日差しがぽかぽかで、窓からは心地の良い風が入ってくる。

 うとうとし始めたキャルはソファーに顔を近づけた。
 すぐに閉じてしまう瞼に逆らえない。
 
 そのままキャルは深い眠りに落ちた。

「……ごめんなさい、キャル様」
 サリーは睡眠薬入りの水を飲んで寝てしまったキャルをシーツでふわっと包み込んだ。