終焉の戦歌

世界各国に、神殿の封印再強化の報が届いた。



 その知らせは、冷たく、そして重く、各国の首脳たちの胸に影を落とした。



 サルディア帝国の戦略会議室。鉄の重厚な扉が閉ざされる中、帝国元帥が語気を強めた。



 「封印が緩むなど、もってのほかだ。軍は直ちに準備を整え、万全の態勢で臨む。今こそ力で世界を守る時だ」



 一方、ヴェルダ共和国の議事堂では、代表たちが熱い議論を交わしていた。



 「科学と個人の自由こそが、この危機を乗り越える鍵だ」



 「封印の研究を開放し、全人類のためにエーテリウムの真理を追求すべきだ」



 意見は割れたが、未来への探究心は確かに彼らの心を支配していた。

 カドリア王国の聖堂では、王が神官と共に祈りを捧げていた。



 「これは神の裁きに他ならぬ。封印の異変は我らへの警告。神々の御心に背くことなかれ」



 信仰に支えられた国は、危機を宗教的使命として受け止め、聖戦の準備を始める。

 セラン連邦の浮遊都市ラビリスでは、最高評議会が集まり、冷徹な論理で対策を議論していた。



 「エーテリウムの真理を解き明かし、封印の秘密を科学の光で照らす。これこそが我々の使命だ」



 知識と技術で未来を切り拓こうとする彼らの姿勢は揺るがない。

 4つの国、それぞれの思惑と信念が交錯し、やがて世界を巻き込む大きな波となる。



 封印の危機は、彼らの選択により、終わりなき戦いの火種となるのだった……。



 深淵の闇が広がる、言葉では表せぬ世界の核。



 そこに、わずかに輝く一筋の光があった。



 アーサーの自我。かつての彼が持っていた意思と魂のかけら。

 だが、その光は揺れ動き、迫り来る闇に呑まれかけている。



 「なぜ……私はここに?」



 その問いに答えはない。

 存在するのは、混沌と破壊の欲望、終わりなき渇望だけ。

 巨大な影がうごめく。



 それがジェイコブ・アーサー。



 彼の本質は、もはや人間の枠を超えた破壊神のような存在。

 だが、その中には、かすかな悲しみも潜んでいた。



 「戻れ……戻れない……」



 壊れゆく自我が叫ぶ。



 だが闇はその声を押しつぶし、核の中心を支配していく。

 破滅の人格が膨張し、世界を塗り替えようとするその瞬間。



 わずかな光が消えそうで、しかし消えない。



 これは、終わりの始まりでもあり、また新たな希望の兆しでもあった。



 朝霧が晴れ、四方に広がる大地にそれぞれの国旗がたなびく。



封印再強化の報は、すぐさま世界中に波紋を広げた。世界の四つの国。サルディア帝国、ヴェルダ共和国、カドリア王国、そしてセラン連邦は、それぞれの思惑と理念を胸に、動き出す。



 サルディア帝国は、かつて鉄と炎で国土を広げた覇道の国家らしく、軍備の増強を最優先とした。



厚い鎧に身を包む将軍たちが連日会議を重ね、最新鋭の武器開発を急ぐ。戦車の改良、新型飛行兵器の実戦配備も目前に控え、鉄の兵団は戦場の準備を整えていった。



 一方、ヴェルダ共和国では自由と革新を旗印に掲げる若き指導者たちが、民衆の不安を和らげるべく奔走していた。



彼らは情報戦を重視し、通信網の強化や暗号技術の開発に力を注ぐ。秘密裏にスパイ網を拡充し、敵対国の動向を探ることで、戦況を有利に進めようとしていた。



 カドリア王国は、神の裁きを信じ、王都の大聖堂で祈りと儀式が執り行われた。



聖王と呼ばれる王自身も神託を受け、民を鼓舞する演説を連日繰り返す。騎士団は神聖な使命感に燃え、戦いの準備と共に神の加護を求める祈りを絶やさなかった。



 セラン連邦は、知識と科学の力でこの危機を乗り越えようとした。浮かぶ都市の研究所では、エーテリウムの真理を探求する科学者たちが夜を徹して研究を続けていた。最新の分析機器が封印の異変の原因を探り、論理的な解決策の模索に没頭する。



彼らは軍事力ではなく、科学技術の力こそが未来を切り開く鍵だと信じていた。



 だが、国々の動きは決して単純ではなかった。互いに警戒し、疑心暗鬼が生まれる。秘密裏に動く工作員、交わされる謀略の言葉……この大戦争の幕開けは、やがて深い混沌へと引き込まれてゆく。



 ニコラス、レアナ、エリオット。



 神殿の深奥で、3人は慎重に足音を忍ばせていた。古びた石造りの壁は湿り気を帯び、時折ひび割れから冷たい風が吹き込んでくる。



ニコラスは前方を警戒しつつ、エリオットが後方の安全を確かめていた。レアナは両手に持った松明の炎を揺らしながら、何か異変を感じ取ろうと神経を研ぎ澄ませていた。



 その時、不意に微かな足音が3人の背後から響いた。レアナが声を潜めて言った。



「誰かが来る……!」



 3人は即座に身を隠す。周囲の岩陰に体を潜め、呼吸を殺す。足音はゆっくりと近づいてきた。静寂の中で、緊張が張り詰めていく。



「兵士か……偵察隊かもしれない」



 エリオットが囁く。ニコラスは短剣を握りしめ、心臓が激しく打つのを感じた。

 やがて、影が灯りの範囲に現れた。



そこにいたのは、サルディア帝国の制服を纏った数人の兵士だった。彼らもまた、神殿の謎を調査するために派遣されていたのだ。



「敵か味方か……判断は難しい」



ニコラスが眉をひそめる。



 兵士たちはゆっくりと神殿内を探索していた。3人は絶好の機会を狙いながら、動くべきか隠れるべきか、刻一刻と決断を迫られる。



「今は戦うわけにはいかない。情報を得て、ここを離れるんだ」



 レアナが静かに指示を出す。

 しかし、その瞬間、微かな音を聞き逃さなかった兵士の一人が振り返った。緊迫した一瞬が訪れる。



 「ここまで来るとはな、甘い連中め」



 低く冷たい声が響く。

 レオンとジョニーだった。



 2人は鋭い動きで兵士たちに襲いかかる。軽やかな剣さばきと迅速な射撃が次々と敵を倒していく。兵士たちは一瞬で倒れ、神殿は再び静寂に包まれた。



「助かった……」



 レアナが安堵の息をつく。



「だが、安心はまだ早い」



 ニコラスが周囲を警戒しながら言った。

 3人が神殿の出口へと足を進めたその時、不意に何者かが現れた。影に隠れ、待ち伏せていた敵の軍勢だった。



 だが、その先頭に立っていたのは予想外の人物だった。



「……すまんな。俺は待ち伏せしてカウンター狙うの好きなんで」



 レオンが軽口をたたきながら、鋭い眼差しで敵を睨みつけた。

 隣には無言で銃を構えるジョニーの姿もあった。



 ニコラスたち3人は必死に森の中へ逃げた。しかし、またしても敵の待ち伏せが彼らを襲った。



 「レアナ!」



 ニコラスの叫びが響く。レアナが何かに躓き、倒れた瞬間、敵の一撃が彼女を襲い、大きな傷を負わせた。



 「動けない……!」



 レアナは苦しそうに息を吐く。

 その瞬間、ニコラスの瞳が鋭く赤く光り始めた。



 握る剣に青い炎が宿り、その刃は一瞬にして冷たい輝きを放つ。



 「くっ……!」



 レオンが投げたナイフがニコラスの剣に触れた瞬間、ぱりんと音を立てて砕け散った。



 炎の剣が振り下ろされると、レオンは勢いよく吹き飛ばされ、遠くの木に背中を強打し、倒れ込んだ。



 意識は遠のき、動かなくなった。



 その様子を見た兵士たちとジョニーは恐怖に駆られ、一目散にその場を離れていった。



 森に再び静けさが戻った。

 レアナは倒れたまま、息を荒くしていたが、傷は幸いにも致命的ではなかった。ニコラスは急いで彼女のもとに駆け寄り、持っていた応急薬を取り出した。



 「大丈夫だ、しばらく安静にしていれば回復できる」



 ニコラスはそう言いながら、彼女の傷を手際よく手当てした。

 レアナは苦しそうに微笑み、



 「ありがとう……ニコラス……」



 とつぶやく。



 レアナの大きな傷は、彼女の体力を確実に奪っていた。ニコラスは彼女の肩を支え、無理にでも歩を進めた。冷えた風が森の間から吹き抜ける中、3人の足音だけが静寂を切り裂いていた。



 「もう少しで街だ。もう少しだ……」



 ニコラスは何度も自分に言い聞かせながら、レアナを励ました。エリオットも彼女の反対側から支え、互いの力を合わせて歩を進めていく。



 道すがら、彼らは言葉少なに、それぞれの胸に渦巻く想いを押し殺していた。だが、沈黙の中にも絆は静かに深まっていった。



ニコラスは過去の失敗や、自分がなぜこの旅に身を投じたのかを思い返し、レアナは闘いの中で見せた弱さに自ら問いかけた。



エリオットはそんな2人を見守り、時折軽口を叩いて場を和ませる。

 ようやく、彼らの前にフェンリッドの街が姿を現した。石畳の道、煙突から立ち昇る煙、人々の喧騒が温かく迎え入れる。



 「ここで助けを求めよう」



 ニコラスは決意を新たに、3人は足を踏み入れた。

 街の居酒屋は活気に満ちていた。木製のテーブルに集う人々の笑い声が響き渡り、壁には旅人や商人の掲示が貼られている。三人は奥の静かな席に腰を下ろした。



 「誰か、この神殿の封印について知っている者はいないか?」



 ニコラスは声を潜めて尋ねた。

 店主の老婆が近づき、眉をひそめながら言った。



 「神殿の話かい?昔から言い伝えはあるが……最近になって、また動き出したという噂は聞くね。あまり深入りするもんじゃないよ」



 隣の席の男も声を潜めて話し始めた。



 「4つの国がこぞって神殿の封印を注視していると聞いた。戦争の火種になるかもしれん。特にサルディア帝国とヴェルダ共和国の動きが怪しい」



 情報は断片的で、どれも確証には遠かったが、3人は地図を広げ、次にどこへ向かうべきかを慎重に検討した。



 街の子供たちが通りすがりに声をかけてきた。



 「おじさんたち、あの森の奥の神殿のこと、よく知ってるの?」



 レアナは微笑み、優しく答えた。



 「少しだけ。でもまだ全てを知っているわけじゃないの」



 レアナは傷を癒やしつつ、新たな謎へと歩みを進める決意を固めていた。

 居酒屋での断片的な話を聞き終えたあと、老婆はゆっくりと3人を見つめ、口を開いた。



 「君たち、本気で神殿のことを知りたいのなら、あの男に会うといい」



 ニコラスが聞く。



 「誰ですか?」



 老婆は少し間を置き、穏やかに答えた。



 「この街で一番古い家に住む、アルフォンス・ヴァレンティンという男だ。元は学者でな、神殿やエーテリウムの研究を長年続けてきた。誰も近寄らなかった謎に挑み続けてきた人だ」



 レアナが興味を示しながら問う。



 「そんな人がここに?」



 老婆は頷いた。



 「そうだ。ここから少し歩いた先にある。きっと君たちの役に立つはずだ」



 3人は老婆の案内で、石畳の道をゆっくりと歩き始めた。街並みが少しずつ静かになり、やがて視界に大きな屋敷が現れた。



高い塀に囲まれた豪奢な建物は、長い歴史を感じさせる重厚な造りで、庭には手入れの行き届いた樹木や花々が彩りを添えていた。



 老婆は門の前で立ち止まり、鈴を鳴らすと、扉がゆっくりと開いた。



 「さあ、入れてやってくれ」



 中からゆっくりと現れたのは、白髪の長い髭をたくわえた老人だった。彼の眼は深い知識と経験を湛え、静かながらも威厳を感じさせる。



 「アルフォンス様、お客人がお見えです」



 老婆が告げると、老人は軽く頭を下げた。



 「ようこそ、旅人たちよ。私はアルフォンス・ヴァレンティン。この地の歴史と神殿の謎を追い続けてきた者だ」



 ニコラスが礼をしながら答える。



 「はじめまして、私たちは神殿の封印の異変を調べています。あなたの知識をお借りできればと思いまして」



 アルフォンスはゆっくりと頷き、屋敷の広間へ3人を招き入れた。

 室内は古書や地図、様々な遺物が整然と並べられており、彼の人生を物語っていた。



 「神殿の封印についてだが……最近の動きは、単なる自然現象や偶然ではない。封印が弱まっているというよりも、何かが意図的にその力を解き始めている」



 レアナの顔がすこし暗くなった。



 「それは……誰かの仕業ですか?」



 アルフォンスは深く息をつきながら、静かに語り始めた。



 「可能性は高い。ジェイコブ・アーサー、あの破滅の怪物とも呼ばれる者が、神殿の封印と密接に関係していることは間違いない。彼の精神世界の中にある核が不安定化すれば、世界に大災厄をもたらす」



 ニコラスは鋭く目を見開いた。



 「では、その核を再び封じる方法は?」



 アルフォンスは古びた書物を開きながら答えた。



 「それには、この地に古くから伝わるエーテリウムの精霊と呼ばれる存在の力が必要だ。だが、精霊の力を借りるには多くの試練が待っている」



 エリオットが疑問を口にした。



 「試練……それはどんなものですか?」



 老人は遠い目をしながら言葉を選ぶ。



 「それはまさに、人の心の強さを試されるものだ。過去の闇と向き合い、己の恐怖や痛みを乗り越えねばならない。そうして初めて、封印の力を再び高めることができるのだ」



 3人は静かに頷いた。覚悟がまた一層深まった瞬間だった。

 アルフォンスはさらに続けた。



 「これから先、君たちは様々な困難に直面するだろう。だが、私は可能な限りの助言と資料を提供しよう。君たちの旅が、世界の命運を左右することになるのだから」



 レアナは感謝の意を込めて頭を下げた。



 「ありがとうございます、アルフォンス様。私たち、必ずや使命を果たしてみせます」



 老人は微笑みを浮かべ、静かに言葉を結んだ。



 「さあ、話はこれで終わりではない。まだ語るべきことが多くある。夜はこれから長い……ゆっくり休んで、明日に備えなさい」




 翌朝。

 フェンリッドの街に朝霧が立ち込める頃、ニコラスたちは再びアルフォンスの屋敷を訪れていた。昨夜の話を反芻しながら、彼らの表情は真剣そのものだった。



 迎え入れたアルフォンスは、炉の前で小さく微笑んだ。



 「よく来たな。昨夜の話、少しばかり唐突だったかもしれん。だが……精霊の導きを得たいのなら、白き嶺へ向かう必要がある」



 「白き嶺?」



 とレアナ。



 「この街の北、3日ほど行ったところの道のりにある雪山のことだ。正式な名はセリオ・フロス。だが地元では精霊の眠る山として知られている。封印の力を一時的に支えた君たちなら、そこで精霊の試練を受けられるだろう。だが……」



 アルフォンスは声を低くする。



 「容易ではない。吹雪は強く、標高は高い。加えて、近頃は山の気が乱れている。精霊が目覚めかけているのか、それとも……別の何かが動いているのか」



 ニコラスは迷いなく答えた。



 「行きます。やるしかないなら、やるだけです」



 「ふん。気骨のある返事だ。ならば、道中の地図と、この古の火打石を持っていくといい。山の門を開くのに必要になる」



 アルフォンスが差し出したのは、小さな銀の円盤だった。表には精緻な紋章が刻まれ、手に取ると微かに温もりを感じた。



 その夜、3人は街で必要な装備を整え、レアナの傷の手当てを済ませると、翌朝早くには雪山へ向けて出発した。

 



 白銀の風が頬を打つ。3人の姿は雪に覆われた山道に、小さな影として刻まれていた。



 「寒い……けど、空気が澄んでるわね」



 とレアナが言う。



 「気温は氷点下。だがまだ序の口だ」



 エリオットは周囲を警戒しつつ、歩調を崩さない。



 ニコラスは黙って前を見据えていた。彼の心には、あの時、剣に宿った青い炎の記憶が残っている。あれが何だったのか、どうして自分だけが……その答えも、この旅路の先にあるのだろうか。



 途中、小さな山小屋で一夜を明かすと、アルフォンスの言っていた門へと近づいていった。木々が減り、岩肌が多くなる。視界を遮る吹雪は次第に激しさを増し、空も灰色に染まり始めた。



 やがて、彼らの前に巨大な岩壁が現れた。中央には、半円形の凹みと、精霊語と思しき古代文字が彫られている。



 「ここだ……間違いない」



 エリオットが呟いた。



 ニコラスは火打石を取り出し、岩壁の中心にある突みにそっと当てた。



 ゴウン――ゴウン――。



 重々しい音と共に、岩の一部がゆっくりと回転し、奥に通じる狭い通路が現れる。そこから、ほんのりと青白い光が漏れていた。



 「ようこそ。……試練の地へ」



 中に入ると、そこは広大な氷の洞窟だった。壁は自然に出来たとは思えないほど滑らかで、まるで何者かの意志で削られたかのように整っていた。



 「……寒いけど、息苦しさはないわ」



 レアナが呟く。



 「ここは精霊の領域だ。自然の理が、少しだけ違う」



 エリオットが答える。



 突如、洞窟の奥から低く、澄んだ声が響いた。



 「問いに答えよ。心に影があれば、その影と向き合え」



 光が3三方向に分かれ、3人を別々の空間へ導いた。

 ニコラスの試練。



 彼が立っていたのは、かつて自らが育った村の再現だった。

 炎に包まれた村。泣き叫ぶ人々。あの夜の記憶だ。



 「やめろ……もう見たくない……!」



 しかし幻影は止まらない。その中央に、幼い頃の自分と、目を背けた真実が立っていた。



 「お前は見捨てた。恐れから逃げた。それを乗り越えぬ限り、精霊の力など持つ資格はない」



 ニコラスは、震える手でその影に向き合った。



 「……俺は弱かった。でも、今は違う。俺はもう逃げない!」



 その瞬間、彼の胸に再び青い炎が宿った。記憶の炎を焼き尽くすように、空間が消えていく。

 

 レアナとエリオットの試練。



 それぞれが自分の過去と向き合い、傷を受け入れ、そして前を向く決意をする。

 再会、そして選ばれし証。



 3人は氷の中央ホールに再び集った。目の前に、結晶のような存在が浮かび上がっている。それが精霊の核だった。



 「試練を超えし者たちよ。その意志、確かに見届けた」



 核が3人の胸元に淡い光を残し、ゆっくりと消えていく。



 「……これは?」



 とニコラス。



 「封印の力の源だろう」



 とエリオットが答える。



「しばらくは、世界の崩壊は避けられる。けれど……これは一時的なものだ」



 レアナは真剣な瞳で2人を見つめる。



 「でも、これが私たちの始まりになる。絶対に、終わらせるための希望に変えてみせる」



 その言葉に、2人もうなずいた。