帆負命の冷静なツッコミに「確かに」と声が揃う。
息を吐いた帆負命が私たちに体を向けた。私たちは顔を見合せたあと背筋を伸ばして深々と頭を下げた。
「数日間、お世話になりました!」
自然と声が揃う。おう、と帆負命が応えてソロソロと頭をあげた。
ほら巫寿、と背中を押されて一歩前に出た。リュックにしまっていた完成したばかりの写真立てとお礼の色紙を差し出す。
「私たちからお礼です」
眉根を寄せて受け取った帆負命はしげしげと写真立てを眺めた。もみくちゃになりながら満面の笑みで笑う私たちが写っている。
フッと小さく笑みを零した帆負命は反対の手を伸ばした。その手はまっすぐと私の頭に伸びて叩くように乗せられる。
分厚く手のひらは少し硬くて、とても温かい。
「お前たちの行く先に、幸い多からんことを」
その瞬間、まるで羽衣が天から降ってきたかのように両肩に柔らかい何かがふわりと舞い降りた感覚がした。
咄嗟に自分の体を見下ろすも何もない。ただ何かに包み込まれるような心地良さだけが残っている。
もう一度私の頭を軽く叩いた帆負命は「ありがとう」と呟くと、背を向けて歩き出す。背中はすぐに暗闇の中へ消えていった。
「すっご……神祝き貰っちゃったよ僕ら……」
「俺、感動で涙出そう……あれ? 恵衣もう泣いてる?」
「うるさい泣いてない!」
感動で震える同級生たちに、私は己の両手を見つめた。
神祝き────神の祝福。
あの不思議な感覚は、帆負命が私たちを祝福してくれたということなんだ。



