言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


写真立てがちょうど完成した頃に帆負命が帰ってきた。外はすっかり日が傾いて空が赤い。世話になった本殿に頭を下げて、私たちは迎門の面を深く被った。

眞奉に足元を照らしてもらって、果てしない暗闇が続く鬼脈を歩く。途中で一度休憩を挟み、恐らく二時間ほど歩いて帆負命は足を止めた。


「ここだ」


帆負命がまっすぐ前を見たまま腕を伸ばした。すると手首から先がまるでマジックのようにスッと消える。

みんなが小さく息を飲んだ。

この先に、ふくらの社へ続く鬼門がある。


「開けただけだ、中の状態は見ていない。十分気をつけて行きなさい」


振り返った帆負命が私たちにそう告げた。

生唾を飲み込んで頷いた。

十数年前に空亡が現れ閉ざされた社。一体中はどんなことになっているんだろう。


「帰りはどうする?」

「現世側の鳥居を使います。俺らの隠れ家まで電車で帰れる距離なんで」

「そうか。なら私はもうここまででいいな」


ただそうとだけ言うと、帆負命はくるりと背を向ける。歩き出そうとした背中をみんなで慌てて呼び止めた。


「待って待ってッ、まだお礼も挨拶も出来てないのに!」

「そうですよ……! こんなに助けて貰ったのにお礼も言わないなんて、バチが当たります!」

「バチを当てるかどうかは私が決めるものだと思うが」