言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


鬼門を開く儀式は門外不出なので誰にも見せることができないらしい。「終わったら迎えに来てやる」と朝早くに出て行って、もう八時間近く経った。

最初は荷物や作戦の確認をしていた私たちだけれど、それもひと通り終わると退屈になる。折角だから世話になった帆負命になにかお礼ができないかと案を出し合い、お礼のメッセージを書いた色紙を作ることにした。


「おい、最高敬語とは言わないがもうちょっとマシな敬語を使えないのか?」

「え、最高敬語ってなんだ?」

「授業で習っ────言うだけ無駄だな」


恵衣くんと慶賀くんのやり取りにクスクスと笑いながら、借りた食器を茶箪笥にしまっていく。この家には1人分の食器しかないので、ここ数日夕飯を食べる時は皆大きさがばらばらな食器を使っていた。

帆負命自身も数日滞在すると次の鳥居を建てるために移動してしまうので、ものはあまり置かないらしい。

必要最低限の荷物しかないからか、どこか殺風景でもの寂しい。

ふと、昨日帆負命が言っていたことを思い出す。


『ひとりは、寂しいぞ』


そう呟いた帆負命の寂しそうな横顔がずっと脳裏に焼き付いている。


「……ねぇ、皆」


囲炉裏の傍で色紙を囲んで寝転んでいた皆が「ん?」と振り返った。


「帆負命に写真とかプレゼントできないかな」