言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



その日の夜、夕飯を食べたあとも残りの作業に勤しんでいた私たち。ふと手を止めた来光くんが私の名前を呼んだ。

来光くんは書宿(しょしゅく)の明で量産していた御札の角をトントンと揃えながら私を見る。


「こっちが解決したら、僕たちの方も進めないとね」

「そうだね。私たちの方は完全に進展なしだもんね」


ここ数週間は三種の神器チームの手伝いに集中していたので、私たち空亡討伐チームは何も調査が進んでいない。

私たちの目的は空亡討伐に向けての作戦を考えること。その第一段階として空亡の祓除に有効な祝詞を探し出すことだ。


「それについては、そこまで焦らなくていい。上手くいけば数日で何かしら分かるはずだ」


リュックサックに荷物を詰めていた恵衣くんがちらりとこちらを見てそう告げた。

数日で何かしら分かる?


「ある人に、ちょっと頼んだ」


ちらりと目を動かした恵衣くん。その先には大きな欠伸をしながら目を擦る慶賀くんがいる。

慶賀くん……? 一体どういうこと? でも"ある人"と表現したんだから、慶賀くんではないはず。第一私たちと行動を共にしているのだから、そんな時間はないはずだ。

とにかく今は少し待て、そう意味深な言葉だけ残して口を閉じた恵衣くんに私たちは顔を見合せて首を捻る。

恵衣くんがそういうなら私たちは信じて待つ他ない。


それにしても「頼んだ」って、何を頼んだのだろうか。