恐れ多くも手置帆負命の家に1泊した私たち。鳥居建立の手伝いは、翌日からすぐに開始した。
長時間絶望の中歩き続けた鬼脈は、心強い先導者と先を照らしてくれる眞奉がいるおかげでなんの憂いもない。
三十分ほど歩いたところで、帆負命は「ここだ」と足を止めた。帆負命が指さした場所をみんなで囲って提灯の灯りを寄せる。
ただ黒い空間がずっと広がっていて、建立途中の鳥居がそばに転がっているだけだ。
「帆負命、ほんとにここに鬼門があんのか?」
手ぬぐいを頭に巻いていた帆負命がちらりと振り返って頷く。
「手突っ込んでみろ」
「手?」
顔を見合わせた私たちは恐る恐る手を出して暗闇に突っ込んでみる。するりと撫でられるような感覚と共に、手首から先にポツポツと冷たい雫が当たる。現世は朝から雨が降っていた。
うおっ、すっげぇ! なにこれ!?
歓声を上げる私たちにフンと鼻を鳴らした帆負命は「説明するからこっち来い」と私たちを呼びつけた。
鳥居の建て方は時代によって違うのだけれど、鬼脈の中に建てるとしたら恐らくいちばん古いやり方だろう。
「鳥居は掘立柱で建てる。簡単に言うと掘る、建てる、叩くの三段階だ。お前らにはまず」
帆負命は風呂敷の中から何かを探り出して私たちに投げる。受け取ったそれに目を点にした。
「ひたすら掘ってもらう」



