「そこんとこ、どうにかなんないっすか? 帆二郎さんだって神さまじゃん」
慶賀くんがぐでんとその場に転がって頬を膨らます。手置帆負命はそんな慶賀くんにぎゅっと眉根を寄せる。
「記憶と能力を引き継いでいるだけで身体は人間なんだぞ。鬼脈の奥は灯りを用意しても大して役に立たないから作業も進まないし、力仕事も限界がある」
何もかも手置帆負命の仰る通りだ。
鬼門は毎日のように至る所で発生する。アリしか通れないような大きさのものもあれば、私たちが普段使っているような大きなものまでだ。
皆が皆正しく鬼門を使えば問題ないのだけれど、悪用しようと考える者もいる。なにより鬼門に気付かずうっかり中に入ってしまう一般人もいるので、鳥居を建てて管理する必要がある。
しかもあんな暗闇の中で全てひとりで担っているのだとしたら、修復が後回しになるのも無理はない。
「どうにもならん。むしろ猫の手でも借りたいくらいだ」
そうですよね、と皆のため息が重なる。じゃあやはり、大人しくひと月後を待ちながら私たちの方でも鬼脈に潜って捜索を続けるしかないのか。
「あ」
突然声を上げた来光くんにみんなの視線が集まる。
どうしたの?と首を捻れば来光くんが顔の横でスっと両手を上げる。
「人の手、十本くらいならあります」
あ、と皆が呟く。同じように顔の横で両手を上げた。手置帆負命が目を瞬かせる。



