ふー、と息を吐いた手置帆負命は険しい顔のまままた湯呑みを煽った。ソワソワしながら返事を待っていると「近い」と一言。慌てて距離を取って正座した。
「まず、鳥居を建て直すことは可能だ。前例はないが壊れた鳥居の修繕も元々私の仕事でもある。ふくらの社とやらの鬼門を見つけて、もう一度入口を開けることは出来るだろう」
ワアッと皆の声が一際明るくなったところで「だが」と手置帆負命がすかさず口を挟んだ。
「たが"今すぐに"というのは不可能だ」
今度は「えっ」と戸惑いの声が揃う。
修理できるならどうしてすぐに建て直してくれないのだろうか?
「鬼門は毎日のように至るところで生じている。それを見て回って管理が必要なものを見極め新しい鳥居を建てる……全て一人でこなしているんだ、修理にまでは手が回らん。どれだけ急いだとしてもひと月後だな」
ひと月後。
そんなに待っていたらもしかしたら芽さんの方が先にふくらの社を探し当てて残りの三種の神器を集めてしまうかもしれない。
そうなったら私は。
みんながちらりと私を見た。考えていることは同じなのだろう。
「……そもそも、社が閉じられたということはそれも御祭神の思し召し。無理に開けるのは神意に反する」
そう言われてしまうとぐうの音も出ない。



