脳裏に朱色の鳥居がパッと浮かんでぽかんと口を開けた。
誰かが作ったからあの場所に建っている、ということは当たり前なのだけれど、まさかあの鳥居を神さまが作っているなんて微塵も思わなかった。
鬼脈で木槌を振っていたのは、丁度鳥居を建ててたということか。
「じゃ、じゃあもしかして……ふくらの社の鬼門に鳥居を建てたのも手置帆負命なんですか?」
「ああ。正確には十代前の私だが」
そうか、手置帆負命は現人神だ。神とはいえ身体は人間、寿命も人と同じで80、90歳くらいだから、鳥居を建てたのは置田帆二郎さんではない身体だった時ということだろう。
「そうか、あの鳥居は潰したのか。そのうち建て直しておく」
ふむ、と顎を摩った手置帆負命。たっぷり十秒の沈黙末、全員の「ええ!?」という驚きの声が見事に揃って響いた。
「え、ちょ、え!?」
「とり、え? たて……たて!?」
「分かるように話せ」
手置帆負命は渋い顔で呆れたように息を吐いた。
私たちの聞き間違えじゃなければ、今、建て直すって言った?
嘉正くんが身を乗り出した状態で震える唇を開いた。
「手置帆負命、今"建て直す"と仰いましたか……?」
「ああ」
「つまり鬼脈のどこかに消えたふくらの社の鬼門の位置を、特定できるということですか!?」
来光くんは手置帆負命の膝の前まで身体を乗り出してずり落ちた眼鏡を押し上げながら尋ねた。



