現人神さまがお茶を入れてくれている間、気まずさに耐えかねた私達は軽く自己紹介をすることにした。
現人神さまは聞いているのかどうか分からない様子で淡々と湯のみにお茶を注いでいく。全員に湯のみが回ったところで、鋭い灰色の目を私たちに向けてずずっと茶を啜る。
「で、どうしてお前たちはあそこにいたんだ。その歳にもなって鬼脈の歩き方を知らないはずがねぇだろう」
萎縮する私たちの代わりに答えたのは慶賀くんだ。
「俺ら、ふくらの社を探してるんすよ」
「ふくらの社を探している、だと?」
「うっす! 宮司さまが社を閉ざして鬼門が潰れちゃったから、仕方なく鬼脈の中から探しててさ」
もっとまともな敬語が使えないのか、と恵衣くんが眉を釣り上げる。
恵衣くん、残念だけれど慶賀くんに今以上のものを望んじゃダメだ。
「ご存知ではありませんか? 十数年前にふくらの社に空亡が現れて、当時の宮司が両方の鳥居を潰して空亡を社の中に封じ込めようとしたんです。結局失敗に終わって、社と神職たちだけが行方不明のままで」
嘉正くんがそう補足して、現人神さまは眉間の皺を深くして黙り込む。私達はどうしたものかとお互いに顔を見合せた。
沈黙に耐えかねた来光くんがそろりと手を挙げて「あの……」と口を開く。現人神さまは顎に手を当てたままチラリと視線を上げた。



