お互いの肩を叩きあった二人が顔を見合せてプッと吹き出す。
恵衣くんがロープの結び目の最終確認を終えて「問題ない」と振り返った。いよいよ捜索開始だ。
鬼門の前に立った二人がほんの少しだけ面を浮かせて私たちに笑った。
「帰ってきたら、ふくらの社がどんなだったか聞かせてやるよ」
「慶賀それすっごい死亡フラグ。勘弁してよ、俺は生きて帰ってくるからね」
「え!? ウソウソ! 今のナシ! やり直させて!」
鬼門の前で今度のようなやり取りを広げる二人に、恵衣くんが深くため息をついた。そして。
「時間がないつってんだろ! さっさと行け馬鹿ども!」
二人の背中を勢いよく突き飛ばす。嘉正くんたちは悲鳴をあげて転がるように鬼門の中へ消えていった。
数秒経って、ロープがズルズルと鬼門の中へ吸い込まれ始めた。問題なく歩き始められたらしい。ひとまず安心だ。
「巫寿、来光。見張りは任せるぞ」
鬼門の前で真剣な顔をしてロープを送る恵衣くん。私たちは力強く頷き「了解」と答えた。



