言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



「ロープ一本で鬼脈を探索できるなら、とっくにふくらの社は見つかってる」


ふんっ、と鼻を鳴らした恵衣くんに対して、こめかみに青筋をうかべた慶賀くんが頬をひきつらせる。


「じゃあ恵衣がもっといい案出せよ! ……って、さっきもこれ言ったぞおい!」

「うるさい、わめくな」

「なんだとォ!?」


ガタンッと勢いよくテーブルに手をついて立ち上がった慶賀くん。すかさず嘉正くんが右手で慶賀くんの顔面をべちんと抑え込む。とても痛そうな音がした。


「とにかく、チーム嘉正は今日明日でロープを完成させて明後日には鬼脈捜索に乗り出すつもり。ロープ作りが間に合ってなくて人手が欲しいから、二人もこっちを手伝って貰えない?」


来光くんと顔を見合せた。ちょうど煮詰まっていたところなので、気分転換にもいいかもしれない。

断る理由もないので二つ返事で引き受ける。


「じゃあこれ食べたら、地獄のロープ編み再開だね」


うへぇ、と慶賀くんが顔を顰める。そんな姿に「あ」と小さくつぶやく。


「所々ちゃんと編めてない部分があったから、やり直した方がいいかも」

「嘘だろ!? アレをまたイチから!?」


嫌だァッ!と頭を抱える慶賀くんに胸の中で小さくてを合わせる。可哀想だけれど鬼脈でロープがちぎれるなんてことが起こる方が笑えない。


「お前さ、そういうことは先に言えよ」


恵衣くんが疲れきった顔で恨めしそうに私を睨む。