言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



「救えない結果になったとしても、初めから片方を切り捨てることはしない。両方を救おうとして失敗する責任は────俺が引き受ける」


その眼差しは誰よりも真っ直ぐで、その言葉には芯があって、嘘も偽りもなかった。

ちゃらんぽらんで無茶苦茶で規格外。破天荒だと思っていた鶴吉も、間違いなく神職を目指す一人の学生だった。

文車妖妃がフンと鼻を鳴らした。


「平等とは同じ結果を与えることではない。同じ重さで命を扱うことだ。お前の答えを────認めよう」


ヨッシャ!とガッツポーズした鶴吉が「どうだ見たか」と言わんばかりに鼻の穴を膨らませて振り返った。

その顔が若干腹立たしく、素直に正解を喜べない。


「よくやった鶴吉。最初は馬鹿なのかこいつと思ったが」

「いつも一言余計なんだよ、お前は」


苦笑いで亀世の頭に軽く手刀を落とした。

これで一問目はクリア、残すは二問だ。

一問目は神職の平等さについて尋ねる問題だった。おそらく二問目も似たような質問が来るのだろう。この調子なら全問正解できるかもしれない。


「さっさと次に行くぞ。二問目だ」


文車妖妃が咳払いをした。

三人は背筋を伸ばして見上げる。


「目の前に救える命がある。けれどそれを救えばお前は言霊の力を失う。救わなければ言霊の力は失われないが、その者は死ぬ。お前はそれでも救うか?」


問題を最後まで聞いて、泰紀は「ん?」と首を捻った。

それって、神職であれば救うのが当たり前なんじゃないのか? 誰だって「救う」と答えるだろうし、救うのが間違いなく正解だ。