二人が頷いたのを確認したあと、また考え込むように俯いた。しばらくして、どこか不安げな表情で文車妖妃を見上げる。
「答えが決まったか」
「……おう」
文車妖妃がシャッと扇子を閉じた。「答えてみよ」と閉じた扇子で鶴吉を指す。
ごくりと生唾を飲み込むと静かに瞬きをする。もう一度目を開けた時には、揺るぎのない目をしていた。
「俺は────どちらも救う」
室内はシンと静まり返る。泰紀が目を見開いた。
「おおおい鶴吉さん!? なにシレッと選択肢増やしちゃってんだよ!? オッサン今のナシ! 今のナシ!」
「誰がオッサンじゃゴラァッ!」
眉を釣り上げた文車妖妃を無視して、泰紀は鶴吉に詰め寄った。
大慌てする後輩に「いいから黙って聞いてろ」と目配せした鶴吉。そして本棚の上に座る文車妖妃を見上げた。
「答えは、"どっちも助ける"だ」
「妾はどちらかしか助けられぬと申したぞ。お前がどちらも救おうとすれば、両者が死ぬかもしれぬ。お前のそれは、理想を語っているだけではないか」
試すような鋭い視線を負けじと見つめ返す。
「それでも俺は、僅かな可能性にかけて二人を助けようとする。だって神職は、命を天秤にかける役じゃないからな」
ハッと息を飲んだ。
出された二択の中から選んでそれっぽい理由を探していた時点で、自分は不正解だったんだ。
神職は、生と死を選り分けることなく、命はすべて等価にして不可侵なり────すなわち、神職は命に優劣を付けることなく、"平等であれ"。



