言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



「鶴吉、お前どっちはだと思う」


ええ〜、俺に聞く?と眉を下げた鶴吉が唸り声を上げながら顎をさする。

傷付いた人間と罪を犯した妖。どちらかしか救えない状況で、どちらを救うか。その上答えは重要ではなく、その答えに至った理由を聞きたがっている。

んー、と目を閉じて熟考する鶴吉を横目に、亀世に
そっと耳打ちする。


「亀世さんならぶっちゃけどうする?」

「私を救う」


斜め上の回答に目を点にした。


「どっちが救えないようなヤバい状況なら、私自身も危険な状況なんだろ。神役諸法度第一章第四項を思い出せ」

「第一章第四項?」


なんだっけな、と天を仰いだ泰紀。

第一章第四項は確か────神職は、自身の安全を顧みぬ行いをもって、神意に仕えること能わず。

簡単に言えば、自分のことは大事にしろみたいな意味だった。なんとも亀世らしい答えだ。


「でもそれ、選択肢の中に入ってない答えじゃん。しかも拡大解釈だし」

「だからコイツに考えさせてるんだよ」


なるほど、と深く頷いた。

その時、鶴吉がパッと顔を上げた。亀世と泰紀の顔を凝視する。


「亀世お前、さっき"答えに至った理由が聞きたい"って言ったか?」

「ああ。言ったな」

「泰紀お前いま、選択肢の中に入っていない答え、とも言ったよな?」

「お、おう。言った」