「その最後の試練とやらはなんだ?」
亀世が本棚の上に座る文車妖妃を見上げた。
はぁ、と面倒くさそうに息を吐いた文車妖妃が指を三本立てる。
「妾からお前たちに三つ問答を出す。この場にいる全員が答えること、正しく答えること。それが条件だ。お前たちの神職としての覚悟を問う」
神職としての覚悟。
それを聞いた瞬間、笑っていた双子の顔付きが変わった。
神職の家系に生まれた子供たちは、物心つく前から神職として生きるとはどういうことなのか親の背中を見て育ち、日々の生活から学んでいる。
平等であれ、利他的精神であれ、神の力を借りる者として常に正直であれ。
数え切れないほどの神職としての心得を叩き込まれ、それでも一生を研鑽に捧げる。どんな人間であっても、神職の心得という"理想"と"本音"がずれる瞬間があるからだ。
誰に対しても平等であることは理想ではあるけれど、人であれば好き嫌いもある。正直であることは正しいが、正直でいることが時に生きづらさを生む。
"本音"をどれだけ押し殺せるか、だからと言って本音を殺して"建前"の行動になっていないか。心得をどこまでま深く理解し行動できるかが、神職としての覚悟の大きさを表す。
「この場にいる全員が三問答えたらいいってことは、一人一問でも全員で全ての問題を考えてもいいんだな?」
鶴吉の問いかけに「好きにせぇ」と目を細めた。
三人は無言で目を合わせて頷く。決まりた。



