言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


ギィィと音を立てて扉が開いたその瞬間、乾いた紙と埃の匂いがふわり遠くから流れてきた。

銭湯の番台のような背の高い受付のテーブルがあって、その奥には天井に届くほど高い本棚が所狭しと並んでいる。


「ここ、もしかして資料室じゃね?」


泰紀が目を丸くしながら辺りを見渡す。


「試練は二つだったのか」

「なんだよ、じゃあ俺ら毎回惜しい所まで来てたのかぁ?」


双子が周囲を見回しながら一歩前に出たその時。




「────許しもなく知を盗み見るのは、誰ぞ」



その声は妙に高くて語尾がくるりと跳ね上がる。耳にまとわりつくように甘ったるく、けれど芯があって野太かった。

声は天井の方から聞こえた。

誰だ?と顔を上げるのとほぼ同時に、解かれた巻物が勢いよく降ってきた。暖簾のように天井から垂れ下がるそれに目を点にする。


「巻物……?」


泰紀は目の前に垂れ下がる巻物に手を伸ばす。みみず文字をするりと指先でなぞったその時。


「いやぁ〜ん」


野太い声が艶やかな台詞をつむぎ、ギョッと目を丸くする。


「な、なんだ今の!? スカートめくられたオッサンみたいな声したぞ!?」

「オッサンじゃねぇよボケェッ!」


今度こそ間違いなくオッサンの野太い声だった。

目の前の垂れた巻物が出したメジャーを戻すようにシュッと目の前から消えた次の瞬間、受付のテーブルの上に鮮やかな赤い着物を纏った何かが落ちてきた。