『そもそもこの試練は、お前の力量を試す訳ではなく神職としての力量があるかを試すということなんだろう。つまり挑戦者が弱かろうが強かろうが関係ない。だから同じ力量の形代と戦わせているんだろう』
仏頂面の恵衣が腕を組んでそう零した。
神職としての力量、つまりどういうことだ?
『挑戦者として試練の場で遭遇したんじゃなくて、神職としてソイツに遭遇したらってことか』
メガネを押し上げた来光。
『神職として……つまりいつも通り相手を観察して、適切な対応をすればいいってことじゃないかな』
ぽんと手を打った巫寿。
『あ、わかった! つまりその形代は────』
慶賀が目を輝かせる。
大きく息を吸って乱れた呼吸を整えた。形代の腹に蹴りを入れてバランスを崩したところで勢いよく距離を取る。
「つまり呪いを祓って、鎮魂すればいいってことだな……! 慶賀ッ!」
やったれ泰紀、と慶賀の声が聞こえた気がした。強く柏手を響かせる。
神職としての力量────つまり目の前で祓除対象と敵対した時、正しく行動できるかどうか。
この2年間嫌という程学んで、戦ってきた。その経験はこの体にしっかりと染み付いている。
祓除対象と出くわした時、まず相手を弱らせたあと鎮魂、そして祓う……!
「荒ぶる魂をば和め 和魂として此処に留まり給へ 鎮まり坐せ」
形代がその場に凍りついたように動きを止めた。奏上したのは、来光が作った相手を動きを封じ込める祝詞だ。
効果はそこまで強くない。けれど自分が相手なら五分程度は縛り付けることができるはずだ。
五分で片をつけてやるよ!



