10分後。まるでコメディ映画のように髪の毛からプスプスと煙を上げて顔を煤けさせた亀代がバタンと後ろにひっくり返ったことにより戦闘は終了した。
よっこらしょと立ち上がった鶴吉がひび割れた眼鏡を拾い上げて、亀代の元へ歩み寄る。ペチペチと頬を叩いて「おーい起きろ」と声をかけると、5回目でうっすら目が開く。
「……何も見えん」
「ほいよ、眼鏡」
鶴吉が眼鏡をかけてやると、亀代は顔を歪めた。割れたレンズだと上手く見えないらしい。
自分で歩く気力はないらしく、鶴吉に米俵のように肩に担がれて戻ってきた。泰紀の隣にドサリと落とすと、すかさず仕返しの脛蹴りが飛んでいた。
はぁぁ、と深く息を吐くとのっそり体を起こして壁にもたれかかった。
亀代の形代がパンッと弾けると、鶴吉が「ああ〜」と落胆の声をあげる。
苛立ったようにチッと舌打ちをして曇ったメガネを袖で拭く。どうやら形代との戦いは亀代が負けたらしい。
「形代の胸元に鍵か描かれてたろ。あれがここを出るための鍵だ」
二の腕の傷に手ぬぐいを巻きながら亀代が答えた。
なるほど、負けると形代と一緒に鍵も弾ける仕組みか。
シャアッかかってこい、と膝を叩いた鶴吉の背中を眺めながら亀代に「大丈夫か?」と尋ねる。ああ、と応えると不貞腐れた顔で膝に頬杖を着いた。



