言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



聞き返すよりも先に亀代の落ち着いた声が素早く祝詞を紡いだ。空気の塊のようなものが見えたかと思うと形代に向かって突進する。当たるよりも前に形代が何かを唱えた。形代を守るように卵色の結界が現れ爆発音を立てて塊を霧散させた。

爆風が流れてきて前髪が逆立つ。


「あの形代は挑戦者自身だ。力量も思考も全て挑戦者と同じ。この徳衡の座で俺たちは、自分自身に勝たなきゃいけない」


自分自身に勝つ。

鶴吉の言葉を小さく繰り返した。


「俺ら、いつもここで躓くんだよな。ちなみに挑戦者が全員負けたら資料室の管理担当に通知が行くようになってて、そこからしょっぴかれて罰則コースだから」


道場の真ん中でドゴォンと激しい爆発音と白煙を散らす亀代に、鶴吉は「今日こそ勝てよォ」と気の抜けた声援を送る。

二人がつまずく試練に自分が勝てるとは思えないんだけど。


そもそも激しすぎる戦闘に自分の番が来るまでこの道場が持つかどうかが一番不安だ。