「────こいつでラストだ!」
鶴吉がそう声をあげると共に目の前で渦巻いていた残穢が霧散した。
肩で息をしながらどてんとその場に腰を下ろすと、ボタボタと額から汗が落ちる。肺の空気を全て吐き出しせば、全身にどっしりと疲労感が乗り掛る。
「よくやった、お疲れ。泰紀お前、意外とちゃんと祝詞の勉強してるんだな」
隅で傍観していた亀代が泰紀の顔を覗き込んでニヤリと笑う。
言葉通り傍観するだけで、どれだけ助けを求めても一切手を貸してくれなかった。
なんて人だ。
「さっさと起きろ馬鹿ども。次の試練の扉が開いてる」
「ちょっとは休憩させろよ……」
鶴吉がそう文句を言いながら体を起こす。泰紀も首だけ持ち上げると、廊下の終わりに蔵にあるような重厚なつくりの扉が待ち構えていた。
「ていうかこの試練あと何個あんの……?」
「知らん。私たちはいつも二個目でリタイアしているからな」
「おいおい嘘だろ? 二人がリタイアする試練に、俺が太刀打ちできんのか?」
「さぁな。まぁ数打ちゃ当たるだろ」
行くぞ、と歩き出した亀代の背中に男子二人は深いため息を吐いた。
ギィィ、と金具が軋んで扉が開く。重い体を鼓舞して立ち上がると、先をゆく小さな背中に続いて扉をぬけた。



