「よし、じゃあ行くか」
パンッと膝を叩いて立ち上がった亀代に続いて「よし来た!」と鶴吉が声を上げる。
軽快な足取りで部屋を飛び出ていった双子に呆気にとられていたが、慌てて我に返りその背中を追いかける。
ズンズン廊下を突き進む二人に「ちょい待てェ!」と叫んだ。
「手伝ってくれるのはすんげぇありがたいけど、作戦は!? 一応俺色々考えたからさ、せめてそれ聞いてくれよ! てか二人は通行札もないのに、どうやって突破するんだよ!?」
騒ぐ泰紀を一瞥して腕時計に目をやった亀代。
「まぁ一時間以内ならバレんだろ」
「はぁ……?」
ゴソゴソと袖を漁った亀代が小さな細長い小瓶を取り出した。うがい薬のように焦げ茶色をした液体がタプタプ揺れている。
ヒュンッとそれを鶴吉に投げる。顔の前で受け取った鶴吉は「ワレモノを投げるな」と苦言を呈した。
小瓶を確認した鶴吉は中身がわかったのか「ああ、了解」と零すと小走りで階段を降りて行く。
双子の中ではそれだけで伝わったらしい。
一体何を渡したんだ?
泰紀は首を捻りながら、のんびりと階段を降り始めた亀代に続いた。



