言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


「慶賀、大好きだ。一生、僕の唯一無二の親友だよ」


来光くんが必死に涙を堪えて微笑んだ。


「大丈夫だよ、慶賀。俺らはここにいるから。ずっとお前のそばにいる」


嘉正くんが笑う。血だらけになった慶賀くんの口元を袖でそっと拭った。


「お前は、馬鹿じゃない。最高の神職だ」


恵衣くんが大粒の涙を落としながら慶賀くんの涙を拭った。

胸が張り裂けそうだった。漏れそうになる嗚咽を必死に飲み込む。


「慶賀くん、あの日私に声をかけてくれてありがとう。友達になってくれてありがとう」


強く手を握りしめる。僅かに笑った慶賀くんが答えるように握り返してくれた。

すぅ、と深く息を吸った慶賀くん。眠たそうに目を細めて私達をぼんやりと眺める。


「あ……がと、な」


風に吹かれれば消えてしまいそうなか細い声は確かに「ありがとな」とそう言った。ふぅ、と深く息を吐きながら目を閉じた。身体中の力が抜けていくのがわかった。


「慶賀!? 慶賀! 慶賀!」

「起きろよ慶賀!」


二人が必死に肩を揺らす。私の手から、するりと力なく慶賀くんの手が抜け落ちる。そこで、もうこの身体には魂が宿っていないのだと悟った。

ただ身を割くような激しい痛みと、息もできないほどの喪失感が喉を締める。

あああッ、と慟哭が響いた。自分が叫んでいるのか、誰かが叫んでいるのか分からなかった。




昨日と同じ笑い合った夜は、もう二度と来ないんだと悟った。