「こんのバカ慶賀ッ、勝手に動いて何やってんだよ! どんだけ心配したと思ってんだよ!!」
合流できたことに安心したのか半泣きの来光くんが慶賀くんに抱き着く。
悪ぃ悪ぃと頬を掻きながら肩を竦めた慶賀くんは「でもほら、持ってきた」と誇らしげに筆を差し出した。
「今抱きつくな! 後でやれバカ共!」
「バカバカうるせぇ!」
みんな揃って夜道を駆け抜ける。周りは田畑しかないせいで遮蔽物がなく隠れる場所がない。
振り返るとちょうど門からぬらりひょん達が出てきたところだった。
「背後に気をつけろよ! 後ろ見ながら前見て走れ!」
恵衣くんがそう叫ぶと同時に足元に伊也の怪し火が落ちて弾ける。
「んな無茶な!」
「走れ走れ走れッ!」
嘉正くんが叫ぶ。
必死に足を動かした。息が詰まる。喉がひりつく。肺が痛い。それでも必死に走った。
背後で怪し火がごうごうと燃える音がする。暗闇の先に分社の表の鳥居が見えた。
ヒュンッ、と何かが風を切る音がした。ハッと振り向くも、顔を顰めて必死に走る慶賀くんがいるだけで何も無い。
暗闇でよく見えないけれど、伊也とぬらりひょんはその場で立ち止まっているように見えた。ぬらりひょんの口が大きく横ににぃと開く。不気味な笑みにぞわりと体が震える。前を向いて必死に走った。



