言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


「祓え給い 清め給え 神ながら守り給い 幸え給え!」

来光くんが早口に唱えた。次の瞬間背後でパリンッと陶器が弾ける音がする。廊下の端っこに飾ってあった高そうな皿が空中で霧散した音だった。


「ヒィィッ! 神々廻家の古伊万里(こいまり)が! しかも色絵ぇぇ!」


結果とはいえ自分が皿をバキバキに割ってしまったことにショックを受けたのか来光くんが悲鳴をあげる。

言ってる場合か!と方々から鋭いツッコミが入った。"コイマリのイロエ"が何なのかは知らないけれど、薫先生なら「君たちが無事だったのならいいよ」と許してくれるはずだ。


「そう逃げるでない。話をしようじゃないか」


ぬらりひょんが廊下を塞ぐようにして立った。


「クソガキども、筆を盗んだんはあんたらやろ!」


玄関は伊也が立ち塞いでいる。

この台詞、先見の明で見た通りになった。慶賀くんもいない。何もかも見た通りの未来に進んでいる。つまり私たちの身に危険が迫っているということだ。


「筆? なんの事かな。筆が欲しいなら筆屋にでも行けばいいだろ」


嘉正くんが顔を強ばらせながらそう答えた。


「あんたらがふくらの社から盗み出したってことは分かってる。妖の噂は風より早いんや。あんたら、特に巫寿ちゃんは妖たちの中じゃ有名やからな」


私達がふくらの社から筆を持ち出したことがもうバレたっていうの? それに妖たちの中じゃ有名って……どういうこと?