勢いよく居間の襖を開け放った。激しく枠にぶつかって大きな音を立てる。驚いた皆が飛び起きた。その中にはまだちゃんと慶賀くんの姿もある。
「ど、どうしたの巫寿ちゃん」
「ビックリするじゃねぇか! 襖は優しく開けろよな〜!」
はっはっ、と短い呼吸を繰り返して必死に息を整える。乾いた喉で唾を飲み込んだ。
「……ッ、隠れ家がバレた!」
みんなの顔つきが変わった。
恵衣くんが腰を浮かして、部屋の隅に適当に置いてあったリュックを皆に放り投げた。
「先見の明で見たのか!?」
「見た……! ぬらりひょんと妖狐の伊也が襲撃に来るッ!」
それだけで皆には十分に伝わったらしい。リュックを背負った私達は迷うことなく廊下を駆け出した。
「待って、筆は!?」
来光くんが悲鳴をあげるようにそう尋ねた。
「蔵に仕舞ってあるが取りに行く時間はない!」
そうだ、払日揮毫筆は家に着いてすぐ一番厳重な結界が貼ってある蔵へしまったんだった。
でもぬらりひょん達がいつ来るか分からない以上取りに戻る時間はない。あの蔵の結界ならちょっとやそっとじゃ破られることはないだろうし、ぬらりひょんたちも私達が持っていると思って追いかけてくるはずだ。



