文化祭前日の放課後は、いつも以上にうるさかった。

 カーテンの位置を直せだの、メニューの値段をもう一回確認しろだの、BGMの音量がどうだこうだだの。
 クラス全体がちょっと浮き足立っていて、その中で俺は、黒板横の飾りの最終チェックをしていた。

「結城、メニュー表、マジでいい感じだな」

「ほんと。字綺麗だし、なんか店っぽい」

 クラスメイトが軽く褒めてくれて、「ありがとう」と返す。
 前みたいに「いや、たいしたことないし」とは、あまり言わなくなった。

 それが、水瀬の影響だってことは、自分でも分かってる。

「じゃ、今日はここまでな。明日一時間目からリハだから、遅刻すんなよー」

 小野の声で、準備終了の合図が出た。

 ざわざわしていた教室が、少しずつ「帰るモード」に切り替わっていく。

「結城先輩」

 片づけていたペンをペンケースに戻したところで、背後から呼ばれた。

 振り向くと、やっぱり水瀬がいた。
 今日も変わらず、まっすぐな目でこっちを見ている。

「帰り、ちょっとだけ一緒に歩きません?」

「ちょっとだけって」

「二時間くらい」

「全然ちょっとじゃねえな」

 苦笑しながらも、断る気にはなれなかった。

「まあ、どうせ同じ方向だし」

「やった」

 あからさまに嬉しそうな顔をされて、こっちの胸の奥も少しだけあたたかくなる。

 そんな自分の反応に、内心で苦笑した。

     ◇

 校門を出ると、空はもう少しで赤くなりそうな、薄いオレンジ色だった。

 秋の夕方の空気は、ひんやりしているくせに、どこか高揚感がある。
 文化祭前日っていうのは、きっとどの学校でもこうなんだろう。

「明日、絶対忙しいですよね」

「まあな。レトロ喫茶って、言うほどレトロ要素ないけど」

「先輩の字がレトロ感出してくれてるんで大丈夫です」

「そんな効果あったのか、俺の字」

「あります。あと、レコードの飾りもいい感じでした」

「お前の丸い字のおかげだろ」

「やった。先輩に褒められた」

 嬉しそうに笑う顔を見ると、自然と口元がゆるむ。

 何でだろうな。
 こいつが笑うと、ちょっとだけ、自分のことも許せる気がする。

「明日、緊張します?」

「接客とか?」

「はい。だって結城先輩、たぶん一番『いらっしゃいませ』似合いますよ」

「そんなランキング聞いたことねえよ」

「俺が勝手に決めました」

 堂々としてる。

「まあ、緊張はするかもな。人前で何かするときは、毎回する」

「でも、ちゃんとやるんですよね」

「……まあ」

「そういうところ、好きです」

「またそれ」

「事実なんで」

 何度目か分からない「好き」に、心臓がゆっくり反応する。

 前は、聞くたびに「いやいや」と否定する声がすぐに浮かんできた。

 俺が好きとか、そんなのありえないだろ。
 褒めるにしても、もっと他にふさわしいやつがいるだろ。

 そうやって、自分で自分を下げるのが癖みたいになっていた。

 でも最近、その否定の声は、少しずつ小さくなってきている。

 それも全部、水瀬のせいだ。

     ◇

 校門から駅までの道は、通学路になっていて、制服姿の生徒がちらほら歩いている。

「明日、俺、絶対お客さんに『おすすめ誰ですか』って聞かれたら、結城先輩紹介します」

「何のおすすめだよ」

「接客担当として」

「やめろ、ハードル上がるだろ」

「大丈夫です。先輩のいいところ、ちゃんとナビしますから」

「ナビって何だよ」

 何でもかんでも「先輩のいいところ」に繋げてくるこいつは、もはや職業・褒め上手なんじゃないかと思う。

 ふと、さっきから気になっていたことが、喉の奥まで上がってきた。

 第三章のとき、あいつははっきり言った。

『勘違いじゃないですよ』

『先輩のこと、ちゃんと好きですから』

 あの言葉が頭から離れない。

 あれから俺は、水瀬の「好き」を聞くたびに、その意味を考えるようになった。

 先輩として。
 人として。
 それとも──。

「……なあ、水瀬」

「はい」

 気づけば、口が勝手に動いていた。

「お前さ」

「はい」

「なんでそんなに、俺のこと……」

 言いかけて、言葉がつかえる。

 何て続ければいいのか分からない。

 好きって言ってくれるのか、とか。
 見てるって言ってくれるのか、とか。

 自分からそんなことを聞くのは、怖い。

 もし「いや、先輩としてですよ」とか、「尊敬してるだけですよ」とか言われたら、勝手に期待した自分がバカみたいじゃないか。

 でも。

 ここで聞かなかったら、ずっとこのままなんだろうとも思う。

 モヤモヤしたまま、「後輩」と「先輩」の間をうろうろして、いつか気づいたら離れてる、みたいな。

 それは、嫌だ。

「……なんでそんなに、俺のこと気にしてくれんの」

 やっとのことで、それだけ絞り出した。

 水瀬は、少しだけ足を止めた。

 俺も、それにつられて立ち止まる。

「前から思ってた」

 自分で言いながら、自分の鼓動の音がうるさい。

「毎日のように教室寄ってきて、ノート褒めてきて、声がどうとか言ってきて。メニュー表なくしたときも、味方だって言ってくれて」

 あのときの「味方です」の声が、今でも鮮明によみがえる。

「正直、最初は『何だこいつ』って思ってたし」

「ひどくないですか」

「黙って聞け」

「はい」

「でも、最近は……その、嬉しいって思うことのほうが多くて」

 自分で言っていて、顔が熱くなる。

「だから、ちゃんと聞きたい。なんでそこまでしてくれんのか」

 沈黙が落ちた。

 夕方の風の音と、遠くで車が走る音だけが聞こえる。

 隣を見るのが怖くて、視線を前に固定したまま、返事を待つ。

 しばらくして、小さく息を吸う音がした。

「……先輩が、がんばってるの、知ってるからです」

「え」

 思っていたよりも、ずっと静かな声だった。

「さっき、教室でも見てました」

 ゆっくりとした歩調で、水瀬の言葉が続く。

「メニュー表の字、最後の最後までバランス見て、何回も書き直してたの、知ってます」

「それは、まあ……」

「体育のときだって、ボール追いかけてました」

「それは、ほら、そうしないと試合にならないし」

「班長やってたときも、みんなの意見まとめようとしてました」

「……あれは、うまくできてなかっただろ」

「うまくやれてたかどうかじゃなくて。やろうとしてたのが、俺には大事なんです」

 少しだけ強い声になった。

「先輩って、いつもそうですよね」

「そうって?」

「『ちゃんとやろう』ってしてる」

 短く言い切る。

「誰かに頼まれたこととか、任されたこととか。適当に流さないで、ちゃんと考えて、ちゃんとやろうとする」

 自分の足元を見ながら、ゆっくりと歩く水瀬の横顔が、視界の端に見えた。

「そういう人、かっこいいなって思って」

「……」

「俺、自分はそんなにちゃんとしてないから。ノートもガタガタだし、すぐサボりたくなるし」

「自分で言うなよ」

「だから余計に、結城先輩みたいな人、すごいなって思ったんです」

 少し照れたように笑いながら。

「最初は、それだけでした」

「最初は、ってことは……」

「そこから、すぐでしたけど」

 水瀬は、ふっと笑って、前を見た。

「先輩、誰かに何か言われても、自分以外を責めないじゃないですか」

「それは……」

「体育のときも、『自分がドジったから』って言ってたし。メニュー表のときも、『自分のミスだ』って一人で抱えてましたよね」

 図星を刺されて、言葉が出ない。

「俺から見たら、それ、めちゃくちゃ優しいです」

「優しいっていうか……自分が我慢したほうが早いだけだよ」

「そうやって、自分のこと後回しにするところが、優しいって言ってるんですけど」

 どうやら、俺と水瀬では「優しさ」の定義が違うらしい。

 それでも。

 そう言われて、悪い気はしなかった。

「がんばってるのに、自分のこと全然認めないの、もったいないなと思って」

 水瀬は、少しだけ声を落とした。

「だから、『いいところ、ちゃんとあるよ』って、誰かが言わなきゃいけないなって」

「……その誰かが、お前だったのか」

「はい」

 迷いのない返事。

「俺じゃなきゃ嫌でした」

 心臓が、大きく跳ねる。

「先輩が誰かに褒められるの、正直、ちょっと妬ましいし」

「妬ましいって」

「だって、俺のほうが見てるのに」

 さらっと危ないことを言ってくる。

「ずっと前から見てるの、俺なのに」

「……」

「だから、先輩のいいところ、百個言いたいって思いました」

 あの台詞が、ここに繋がるのか。

「先輩が『そんなのない』って言うたびに、『あるよ』って言える人でいたくて」

 彼の言葉が、ひとつひとつ胸に刺さっていく。

 刺さる、っていうと痛いみたいだけど、実際は、その逆だった。

 傷口にそっと絆創膏を貼られていくみたいな感覚。

 今まで自分でばっさり切ってしまっていたところに、「そんなことない」と手を伸ばされているみたいな。

「……それだけ?」

 自分でも驚くくらい、かすれた声が出る。

「それだけ、って?」

「がんばってるの知ってるからとか。俺のいいところ百個言いたいとか。それだけで、そんな毎日教室まで来るのか?」

 そうじゃないだろ、と。

 どこかで、そう願っている自分がいた。

 水瀬は、足を止めた。

 夕焼けが、彼の横顔をオレンジ色に染める。

「……それだけじゃないです」

 静かな声で、そう言った。

「先輩のこと、ずっと前から好きでした」

 心臓が、さっきまでと比べものにならないくらい、大きく鳴った。

 頭の中が一瞬真っ白になる、ってこういう感覚なんだなと、変に冷静な自分もいる。

「最初は、『かっこいい先輩だな』っていう憧れでした」

 水瀬は、ゆっくりと言葉を選ぶように話す。

「いつも真面目で、ちゃんとしてて。自分の席じゃないところでも、ゴミ落ちてたら拾ってて。体育でこけても笑ってて」

「それ、見られてたのかよ」

「見てました」

 即答だ。

「でも、見てるうちに、『かっこいい』だけじゃなくなって」

 視線が、そっと俺に向けられる。

「『守りたい』とか、『支えたい』とか、『味方でいたい』とか」

 ひとつひとつ、積み重ねるみたいに。

「気づいたら、全部『好き』って言葉にまとまってました」

 ストレートな告白に、息が詰まりそうになる。

 耳の奥で、自分の心臓の音だけが響いている。

 今までの俺なら、この言葉をすぐに否定したと思う。

 俺なんかを好きになるわけない。
 こいつの勘違いだ。
 もっと相応しい人がいる。

 そうやって、自分から逃げるみたいに全部打ち消してきた。

 でも、今は。

 昨日までのいろんな場面が、一気に頭の中に浮かんでくる。

 ノートを褒めてくれたとき。
 体育で怪我したとき、「味方です」と言ってくれたとき。
 メニュー表をなくして落ち込んでいたとき、真剣に否定してくれたとき。
 装飾のハサミを渡すとき、手が触れた瞬間。
 「勘違いじゃないですよ」と、はっきり言った顔。

 全部が一本の線で繋がって、「ああ、そうだったんだ」と思わせる。

 こいつはずっと、俺のことを「好き」で見ていて。
 俺はずっと、自分のことを「そんな価値ない」で見てきた。

 その差が、急に怖くなくなった。

「……俺なんか、って言うなよ」

 気づいたら、自分で自分に言っていた。

 いつも水瀬に言われてた言葉を、そのまま返すみたいに。

 水瀬が目を瞬く。

「先輩?」

「お前が、俺のこと好きって言ってくれるの、そんな簡単に否定したくない」

 自分でも驚くくらい、素直な声が出た。

「俺なんか、とか言い出したら、お前の見る目全部バカにすることになるだろ」

「それは、嫌です」

 すぐに返ってきた言葉に、少し笑ってしまう。

「俺だって嫌だ」

「……先輩?」

「俺さ」

 ゆっくりと息を吸う。

 文化祭前日の夕方の空気は、思ったより冷たくて、でも、肺の奥までちゃんと入っていく感じがした。

「最近、自分のことちょっとだけ嫌いじゃなくなってきたんだ」

「それ、めちゃくちゃいいことじゃないですか」

「調子に乗るな」

 ツッコみながらも、笑ってしまう。

「多分、それ、お前のせいだ」

「俺の、せい?」

「原因」

 言い直す。

「いい意味で」

「……」

 水瀬の目が、大きくなる。

「お前が、毎日毎日『いいところありますよ』って言ってくるからさ。
 最初は『そんなわけない』って思ってたけど。何回も言われると、ちょっとくらい信じてみてもいいのかなって、思うようになって」

 言いながら、自分の中の変化を確かめる。

「体育のときも、『味方です』って言われたとき、本気で嬉しかったし」

「俺も本気でした」

「知ってる」

 あのときの顔、冗談で言ってる顔じゃなかったもんな。

「買い出しペア決まったときも、お前が喜んでるの見て、ちょっとだけ嬉しかった」

「それ、本当ですか」

「嘘ついても意味ないだろ」

 じわじわと、顔が熱くなっていく。

 言葉にするのは、やっぱり恥ずかしい。

 でも、一度口を開いたら、もう止まらなかった。

「俺さ……」

 水瀬の目をちゃんと見る。

 逃げないように、自分に言い聞かせながら。

「お前のこと、好きだと思う」

 空気が、ぴたりと止まった気がした。

 水瀬の目が、丸くなる。
 いつもみたいにすぐ笑わない。その沈黙が、逆に不安になる。

「あの、でも、その……」

 慌てて言葉を足す。

「俺、恋愛とかよく分かんないし。今まで誰かのこと『好きだ』ってちゃんと思ったこともなくて。だから、これが正しい『好き』なのか、自信あるわけじゃないんだけど」

 頭の中が整理できてないまま、思ったことをそのまま言葉にしていく。

「でも、お前が誰かと楽しそうにしてると、ちょっと嫌だなって思うし」

「え」

「俺以外のやつに『好きです』って言ってたら、ムカつくし」

「先輩……」

「俺がミスしたとき、『味方です』って言ってくれたの、めちゃくちゃ心強かったし。教室に来ない日があるって考えたら、なんか、すごい嫌で」

 そこまで言って、自分で気づく。

「ああ、これ、多分」

 ゆっくりと息を吐く。

「ちゃんと『好き』なんだと思う」

 やっとそこに辿り着いた。

 自分で、自分の気持ちに名前をつけられた。

 俺が水瀬に向けている感情は、ただの感謝とか、憧れとか、後輩への親しみなんかじゃない。

 ちゃんと、恋だ。

「……ごめん、遅くて」

 気づくのに、こんなに時間がかかった。

 毎日あれだけ「好き」って言われてたのに。
 「先輩だけ特別扱い」されてたのに。

「今さらかよって感じかもしれないけど」

「そんなことないです」

 食い気味に否定された。

 水瀬は、今にも泣きそうな顔で笑っていた。

「めちゃくちゃ、うれしいです」

 声が、少し震えている。

「俺、ずっと、先輩に『好き』って言ってきましたけど」

「うん」

「返ってくるとは、思ってなかったです」

「思っとけよ」

「だって、先輩、自己評価低いから」

「それは否定できないけど」

「だから、今、ちゃんと聞けて……」

 水瀬は、目元をぐっと指で押さえた。

「ほんと、泣きそうです」

「泣くなよ」

「無理です」

 顔を見られたくないのか、少し俯く。

「俺、結城先輩の『好きだと思う』が聞けただけで、文化祭成功です」

「早いな、ゴール」

「俺の中ではクライマックスです」

 ドラマ化発言、ここで回収かよ。

 笑いそうになって、でも、こっちも目頭が熱くなっているのを誤魔化すのに必死だった。

     ◇

「……なあ」

「はい」

「手、出して」

「え」

 俺が言うと、水瀬は本当にびっくりしたみたいに目を見開いた。

「い、今ですか」

「今以外いつだよ」

「心の準備が」

「さっき泣きそうって言ってたやつが、何言ってんだよ」

 照れ隠しに、少しだけ強めに言う。

 本当は、こっちだって準備なんかできてない。
 でも、この流れで何もしなかったら、絶対あとで後悔する。

「ほら」

「あ、はい」

 水瀬が、おそるおそるって感じで、右手を差し出した。

 その手を、俺はゆっくりと握る。

 指先が触れた瞬間、びくっとするのが分かった。
 たぶん、俺も同じタイミングでびくっとしてる。

 手のひらの温度が、じわじわ伝わってくる。

「……あったか」

 思わずこぼれたら、水瀬が笑った。

「先輩のほうが、あったかいです」

「そうか?」

「はい。落ち着く感じの温度です」

「例え方が独特だな」

「でも、本当にそう思ってます」

 指を少しだけ絡めてくる。

 その動きが、妙に慎重で、でも嬉しそうで。
 見てるこっちまで笑ってしまう。

「これからさ」

 繋いだ手を見ながら、ゆっくり言う。

「お前が俺のいいところ百個言うって言うなら」

「はい」

「俺も、お前のいいところ探す」

「え」

「今まで、お前に言われっぱなしだったからさ。ずるいだろ、それ」

 ちょっとだけ、意地悪く笑ってみせる。

「だから、俺も見とく。お前のこと」

「見られるの、緊張しますね」

「散々こっち見といて、よく言うよ」

「じゃあ、お互い様ってことで」

 水瀬は、繋いだ手を軽く持ち上げた。

「先輩のいいところ、俺が百個言ってる間に」

「うん」

「先輩も、俺のいいところ、ゆっくり見つけてください」

「分かった」

 返事をしながら、胸の奥にじんわり広がる感覚を確かめる。

 必要とされている、っていう実感。
 自分の「好き」がちゃんと届いた、っていう安心。

 今まで、ずっと自分で自分のことを小さくしてきた。

 「どうせ俺なんか」とか、「主役っぽくない」とか。
 そういう言葉で、自分を背景に追いやってきた。

 でも今、俺の隣には、水瀬がいる。

 俺の手を握って、「好きだ」と言ってくれた水瀬がいる。

 その事実のおかげで、頭の中でうるさかった否定の声は、だいぶ小さくなった。

「……ありがとな」

 繋いだ手を、少しだけ握り直す。

 その小さな力に応えるみたいに、水瀬もぎゅっと握り返してきた。

「これからも、言いますから」

「何を」

「先輩のいいところ、です」

 夕焼けの下、笑い合いながら歩くこの帰り道が、少しだけ特別なものになった気がした。

 初めて手を繋いだこの日から、俺と水瀬の距離は、ゆっくり、でも確かに、恋へと変わっていくんだと思う。