初めまして、こんにちは。 
 (わたくし)、三毛猫のミケ・アンジェロと申します。
『最期の晩餐』という名前のカフェを営んでおります。
 ここは、お亡くなりになった方から依頼を受け、大切な人と最後のひと時を過ごすカフェ。思い出ご飯を囲いながら、楽しく過ごして頂こうというコンセプトでございます。

 そして本日は、私にとっても、大変お世話になった方が依頼主なのです。
 名前は宮代(みやしろ)さわ、七八歳でお亡くなりになりました。この宮代様は、人間界で私が交通事故に巻き込まれたところを助けて頂いた恩人なのです。そして、お孫さんである佐久間紬(さくまつむぎ)様が、その私を引き取り、普段は紬様宅で暮らしている次第でございます。

「さっさ、招待状の出来上がり。メニューと地図を同封して……」
 溶かしたシーリングワックスを封筒に垂らし、上からスタンプを乗せる。熱が冷めたらスタンプをそっと取り上げる。するとそこにはカフェのマークである、私の顔が刻印されるのです。
 おっと、いけない。裏に『最後の晩餐カフェ』と書いて……今度こそ出来上がりです。ご招待する人へ直接お届けに参ります。紬様の家は間違うハズもありません。何せ、私も普段から住んでいますからね。

 ポストに投函して、一先ず完了。
 さて、紬様は来てくれますでしょうか……。
 きっと来てくれますよね。

 私はお二人が楽しい時間を過ごせるよう、精一杯おもてなし致しましょう。