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 茅花 綺様

 お世話になっております。
 ご連絡をお待たせいたしました。
 この度は、ぜひ弊社にて『猫の届けた、優しい時間』を刊行させていただければと思っております。
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 ピーンポーン――。

 ドキドキと鳴る胸を押さえる私の耳に、インターホンの音が響く。
 きっと奎くんだ。
 震える足をなんとか立たせると、真っ直ぐに玄関に向かう。後ろから、遅れて立ち上がったスフレが追いかけてくる。
 その向こうで待っている人の笑顔を想像して、私は勢いよく玄関のドアを開いた。


Fin.