星影のステラ


「…ちーちゃん…」
真夏の夜の街に、小さく私の声が響いた。
親友が死んだ。
その実は変える事などできない事実。
そのはずなのに――私の頭は、ずいぶんとクリアだった。

「っ……澪…?」

優しくてあったかい声が聞こえて、思わず顔をあげる。

「…もちぃ」

黒い服を着て立ち尽くすもちぃを見つけ、私は思わずその場から動くことができなくなった。

「…今、竹中の葬儀に、行ってきたとこ」
「…そう」
「澪は知らないよな…?お前、あの後意識失って、叔母さんたち、めっちゃ慌ててたんだぞ。後でちゃんと礼言えよ」
「…うん」
どうして、もちぃは、ちーちゃんが死んだのに、いなくなったのに、そんな関係ない話できるんだろう。
なんで、私のことばっかり話すんだろう。
茫然とコンクリートを見つめる私に、もちぃはゆっくり近づいて、「帰ろう」と腕を軽く引っ張った。
「帰ろう、澪」
「……」
「帰ろう。どうせおばさんたちに何も言わず出てきたんだろ」
「……」
「帰ろう」
「……嫌だ」
「なんで」
蒸し暑いのに、なぜか体は冷え切ってる。
私は冷たい体を自分の腕で抱きしめて、声を荒げた。
「私のせいなの」
「は……?」
「私のせいで、ちーちゃんは死んだ…!!」
――認めたくない。けれど、罪の重さは消えない。
もちぃの手を振り払って、私は全速力で走り出す。
後ろから聞こえる私の名前も無視して、すべてを投げ払うために、全力で走った。