――気づいたら、家のベッドで眠っていた。
あの時のことは、まるで夢だったんじゃないかと、一瞬思う。
けれど、机の上に置いてある便箋と紙、それにちーちゃんと私の写真が置いてあって、あの時のことが夢ではないと気づく。
「澪?」
コンコン、と扉が叩かれ、思わず跳ね起きた私は、「ど、どうぞー」と高まった声で返事をした。
入ってきたのは、お母さんだった。
「…澪…。先生から、電話があってね。今日は休んでもいいって……。どうする?」
それはまるで、自分の顔色をうかがうような、母の姿だった。
「……」
一瞬考えこんで、私はちらりとちーちゃんの写真を見る。
「……行く」
「ええ、わかった。……って、え?」
驚いたようなお母さんの声に、私はにっこりと笑みを浮かべ、もう一度言う。
「行くよ―――学校」